離縁するつもりが、極上御曹司はお見合い妻を逃がさない
それも心苦しいので、できれば津田さんのほうから断ってほしいのが本音だ。


「竹内さん、どうかされました?」
「い、いえ。なんでもありません」


日本酒に口をつけてから固まっていたせいか、指摘されて慌てた。


「お料理、いただきましょう」
「そうですね。いただきます」


津田さんはいちいち私に微笑みかけてくれる。

竹内さんの新しい彼氏に会ったことはないけれど、こんな素敵な紳士をお断りしてはもったいような気もする。

でも、彼氏のことが好きなのだから仕方がないか。


先付けの胡麻豆腐や蒸し雲丹(うに)、翡翠なすはどれも上品な味で、思わず夢中になった。

胡麻豆腐を食べ終わりふと視線を津田さんに移すと、私をじっと見ていたので焦る。


「すみません。おいしくて夢中になってしまいました」


竹内さんの印象を損ねてはまずいのに。

ばつが悪くて視線をはずすと彼が口を開く。


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