クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
菜々子さんと中西先生は、顔を見合わせて困惑していた。


「私の主人が警視庁に勤めていて、嫌疑を晴らすために動いてくれています。一週間と言われましたが、もっとかかるかもしれない。私が出勤するのは、皆さんにもご迷惑かと思うんですが……」

「うーん。警察が四六時中張ってるってのは、こっちも少々やりづらいな……」


東雲先生が渋い顔で言うのを聞いて、私はギクッと肩を竦めた。


「ちょっ、東雲先生っ?」

「そうですね。我々にとって警察は、ある時は相棒、またある時は敵ですしねえ」

「中西先生まで!」


先生たちの反応に、菜々子さんが鼻息荒く憤慨する。


「待ってください。二人とも冷たすぎやしませんか?」


私を二人から隠すように、私の前に立ちはだかった。
目の前に迫る彼女の背中に、私もひくっと喉を鳴らす。


「凛花ちゃんは、身に覚えがないって言ってる。冤罪の被害者ですよ!? 法律のプロとして、むしろ私たちが守ってあげなきゃいけないでしょうに!」


彼女の剣幕に、先生方も怯んだ様子だ。


「な、菜々子さ……」


私は慌てて、菜々子さんの腕を取った。
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