初恋幼馴染みに求婚されました
それは、妻として?
妹として……?
彼の温もりが嬉しいのに、泣きたくなるのは不安だから。

何も返せないでいると、みなみが口を開いた。

「宗太朗さん、梨華のことよろしくお願いします」

「はい、こんな夜中にすみませんでした」

頭を下げる彼を見て心が痛む。

「それはいいんです、梨華は大切な友人ですので、大切にしてくださいね」

「もちろんです」

宗君に手を引かれマンションを出て、タクシーに乗り込んだ。

メーターがすごいことになっていて申し訳なさを感じつつも、素直に「ごめんなさい」と言えない。

タクシーで自宅に向かう中、宗君に手をずっと握られていた。
しかし空気は重い。

宗君からの視線をちらちら感じるけれど、気が付かないふりをして窓の外の景色を眺めていた。
< 119 / 178 >

この作品をシェア

pagetop