初恋幼馴染みに求婚されました
宗君の背に手をギュッと回した。
宗君が好き__。

それは心で言うだけではおさまらず、口にしていた。

「宗君、好き……」

「梨華……」

私を呼ぶ声はいつになく苦しそう。
彼を見つめると、戸惑いを含んだの視線とぶつかった。


小野さんのことがあるから困っているの?

胸がキュウッと苦しく痛み、目が潤んでいくのを感じる。
ぼんやりとしていた意識は、はっきりとしてきたものの何も発せず固まってしまった。

すると驚いたことに彼が、私の唇にキスをしたのだ。

全身が一瞬でカッと火をつけたように熱くなる。
どうして__。

泣きそうな私を慰めるためだろうか。
もしくは、小野さんとの関係を隠そうとしているからなのか。

目を見開き、無言で彼を見つめた。

「ビックリさせたね」

宗君は、私の目尻に溜まった涙を指で拭き取り優しい笑みを浮かべた。
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