初恋幼馴染みに求婚されました
「宗君手……どうして……」

どうして手を繋ぐの?
これまでの冷たい彼とのギャップがありすぎる。
突然結婚宣言をされた時にも肩を寄せられ驚いたけれど、あの時よりも密着度が高いのは、肌と肌が触れ合っているから。

昔の私はよく平気でいれたものだ。

「うん、嫌?」

「う、ううん。急に握ってきたから驚いただけ……」

「婚約中なんだから別に普通だろ」

「こ、婚約中⁉」

カフェの中なのに、つい大きな声をあげてしまった。
周囲の目が集中するのを感じた。
心臓が口から飛び出てしまうのでは、と心配になるほど動揺しているので許して欲しい。

「そうだろう?」

宗君は、何を今さら言いたげに口の端を僅かに上げると、「店は予約してるんだ、出るぞ」と、私の手を引いた。
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