ワケありイジワル王子はツンデレ姫様を溺愛したい。
君は僕のもの

聖・神華学園

【梨愛side】


「ねぇねぇ見ていらした!?さっき清美様がお通
りになっていたわよ!」
「え!どちらに!?清美様!!いらっしゃるならお顔
を見せて下さりません?」
朝からそんな風に周りが騒がしくて、とても不
機嫌な梨愛。
そして、ため息をひとつ。
「はぁ、どうして朝からこうなの!?清美様か王
子様か知らないけどさ!梨愛の優雅な朝のティ
ータイム邪魔しないでくれる!?」
もう!って、さすがに自己紹介くらいは。
梨愛は桃瀬梨愛(ももせりあ)。
この聖・神華学園(せい・かみかがくえん)に
通っている1年。
髪型は主にツインテールで時々ポニーテー
ル。
身長は………秘密!!
まあ、簡単に言えばめちゃくちゃ可愛いって
ゆー事。
「もう梨愛~。いつもの事なんだから慣れた
ら?」
セイロンのキャンディが入ったカップを右手に
持ちながらそう言ってくるのは、同い年の梨愛
の唯一の女友達、霜野純麗(しものすみれ)。
純麗は、可愛いというより美人な感じで、お姉
さん気質。
文武両道で、学園内でもトップを争うくらい
モテている。でも、純麗はすでに仲のいい
幼なじみと婚約しているから、他の誰かと付き
合うことはありえない。
「え~、やだやだ!梨愛のティータイムはうる
さかったらダメなの!!梨愛のことならまだし
も、他の人……ましてや男の話なんて!!これだ
けモテてるんだから、きっとその男はチャラ
い!!」
「え、梨愛もしかして清美くん見たことない
の!?」
「そんなヤツ知らない。」
そういうと純麗は驚愕の顔を浮かべ、そして
その後手をおでこにやり呆れ顔。
なっ、何よ………。
そんな梨愛の思いを読み取ったかのように、
純麗はその清美ナンチャラの説明を始めた。
「いい、梨愛?清美くん………ああ、名前は清
美拓也(すがみたくや)ね。でね、清美くん
は、日本一財閥の清美グループの御曹司。文
武両道でオマケに容姿端麗で、言うことなしの
No.1王子様。」
かっこいいことは分かるんだけど、文武両道は
純麗もだし………みんな顔だけじゃん。
それとも文武両道って珍しいのかな………。
純麗が近くにいるからよく分かんないや。
まあ、そんな男梨愛にはカンケーないし?
「ふーん。」
「ふーんって、梨愛ねぇ……」
「なあに?」
「ちょっとは恋愛に興味持ちなよ!!」
「…………」
えぇ。
ヤだよめんどくさいし。
「恋愛なんて、興味無い。それに、どうせ婚約
者勝手に決められるんだし。」
「まあ、梨愛の家ならそーかもしれないけど
さぁ………」
梨愛の家………あ、なるほど。
なんか梨愛の家の会社、桃瀬フランっていうコ
スメの会社なんだけど。
日本では、指3本くらいには入る財閥らしいん
だよね。
知らないけど。
「やっぱりさ、結婚するなら好きな人とがいい
じゃん?」
「どっちでも。梨愛が好きな人作りたかったとし
ても、この可愛い梨愛に釣り合うやつなんかい
ないと思うけど?なんてったって、梨愛が今ま
で告白された回数は24回!!」
そう言って、純麗にフフンッと自慢げな顔をし
て見せた。でも、純麗には勝てるわけなく。
「恋愛に興味無いって言ってるくせに告白された
回数数えてるんだ…………」
なっ………だって、だってだって!!
「梨愛の可愛さを完全証明するには、告白され
た回数覚えとかなきゃいけなかったんだも
ん!!」
「あーね、ハイハイ。」
そう言って、純麗はなぜか面倒くさそうな顔
をして、中庭を眺めていた。
ところで、今梨愛達がいるところは、1階に
あるバルコニーだ。
この聖・神華学園は、令嬢や御曹司が通う学
校で、いわゆるお金持ち学校。
だから、制服も白色でおしゃれな飾りがいくつ
もしてある。
校舎だって宮殿級に大きく、お城みたいな外見
をしている。
もちろん内面も。
バルコニーは、生徒からの要望でそれに学園
が対応した感じ。
お金持ち学校だから、そんな事いとも容易くで
きるのだ。
学園所有の敷地だって、全然使っていないとこ
ろがある程広い。
この学園に入学してきた新入生たちは、だいた
いみんな道に迷う。
この学園はいつもうるさい。
梨愛はうるさい場所が嫌いだから、この比較
的静かなバルコニーでお茶をしてたのに、その
清美に媚びようとする女どもが最高の雰囲気
を壊してくる。
1度くらいは我慢しようと思ったのに、ここ数日
ずっとうるさい。
そんなに騒ぐほどその清美がかっこいいと言う
のなら、1度くらい顔を見てみたくもなってき
た。
すると、そこで予鈴がなり、梨愛は純麗と一緒
に教室へ戻ることにした。
そして、時は過ぎ昼休み。
今日は屋上でお昼を食べることにした。
でも純麗は先生に呼ばれてて、梨愛だけ先に
屋上に向かうことにした。
今日のお昼はシェフじゃなくて、ママが作って
くれたんだっ。
それで浮かれていた。
だから、この時梨愛は忘れていた。
自分が超ドジっ子な事を。
梨愛は、屋上への階段で足を踏み外してしまっ
た。
「え、え、わーーー!!!!」
ドンッ、という音は………
不思議となかった。
それと体も痛くない。
怖くて閉じてしまった目を開くと、目の前には
息をする事も忘れてしまう程、美形な顔をした
男の顔。
梨愛に釣り合うやつなんて、そんな奴……
いないはず……だよね?
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