8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました~お飾り側妃なのでどうぞお構いなく~3

「たまたま目についただけだよ。よかったね。みんな、そろそろ帰ろう」
「そうね。あ! 馬車を待たせているんだったわ」

 エミリアが思い出したように慌てて立ち上がった。

「さっき校門を通ったから、少し遅れますって言っておいたよ」
「よかった。ありがとうございます、オリバー様」

 エミリアがほっと胸をなでおろし、「帰りましょう」と鞄を手に取った。
 エミリアとマーゴットが校門に向かう後ろ姿を眺めながら歩いていると、アイラが隣に立って意味ありげにほほ笑む。

「ありがと、オリバー、どこで見つけてきたの?」
「……校舎裏。余計なこと言わなくていいよ」
「わかってるって」

 内緒にしているつもりでも、いつもアイラにはばれてしまう。オリバーの気持ちを汲み取って黙っていてはくれるが、オリバーはなんとなく気恥しい。

(アイラには敵わないなぁ……)

 感情表現が豊かで、誰とでも臆せず話し、みんなに好かれるアイラが、うらやましくないと言ったら嘘になる。
 オリバーは、そんなことを思ってしまう自分に、少し嫌気がさしていた。
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