初めての恋ー孤独な私を見つけてくれたー
琉生は、いつも励ましてくれる柚歩に自分のできることを返したいと思って、自分ができる唯一のことをして彼女の喜んだ顔が見たいと思っていた。
柚歩は時間前に到着し、あたりを見回すともう琉生は来ていた。
琉生は白いTシャツの上にストライプのシャツを羽織って、紺色のカーゴパンツを身に着けていた。
琉生は嬉しそうに柚歩に駆け寄っていった。

「よかった、来てくれて。俺、きちんと父親に話したよ。説得してやっとわかってもらったよ。大学は向こうの大学に転入しながら工房で勉強させてもらうことになった。父親との約束で大学は必ず卒業することになったけど。諦めずによかったよ。柚ちゃんに背中押してもらえなかったら、多分諦めていたと思う。本当にありがとう。帰国したら、家業を継ぐ為に勉強はしないといけないけど」
「よかったです。琉生さんの夢が叶いそうで... ...」柚歩は少しうつむきがちに返事した。
「ありがとう。本当に感謝してる。柚ちゃんのおかげだよ。柚ちゃんに今日は渡したいものがあって... ...」
「なんですか?」「ごめん。目をつぶって後ろ向いてくれる」柚歩は琉生に言われた通りに目をつぶって後ろを向いた。

「もういいよ」琉生の声が聞こえそっと目を開けると柚歩に素敵なネックレスがつけられていた。
「これ...。なんで.... ...」

「それは俺がデザインして作ったんだ。俺の夢でもあるジュエリーデザイナーになるための初めての作品。
柚ちゃんにあげたかったんだ。俺の家は日本に何店舗もあるジュエリーショップだから工房も持っているんだ。
そこで作らせてもらった。このデザインは俺の尊敬するおじさんの作品を少しまねて作ってみた。
本当はおじさんに見せたかったんだけど、もうおじさんはいないから...」
柚歩は振り絞るようにお兄さんにお礼を言った。「ありがとう... ...」フラワーの形になっていて離すと5つのハートが連なっていて裏には Jesuis toujours avec toi RtoYと明記してあった。
1つずつに宝石が埋め込まれていて、シトリン、ブルートパーズ、が交互に入っているものだった。

このデザインに見覚えがあった。友香が亡くなる前に柚歩に託した指輪のデザインに似ていた。
















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