初めての恋ー孤独な私を見つけてくれたー
門倉優海は化粧品会社『Kadokura』の社長令嬢で琉生と久遠とは幼なじみ。親から小さい頃から琉生の婚約者と言われており、優海自身もずっと琉生のことが好きで受け入れてきた。

でも琉生には、その気もなくずっと気になっていた柚歩の存在があったから。
「ねえ、もう琉生君はジュエリーのデザインはしないの?」「あ、ああ」「私に、作って欲しい。一つだけのジュエリー」「もう、デザインしてないからな」「そっか、残念」「それより優海、身体大丈夫か?」「今はずいぶんとよくなってるって先生にも言われてるよ」二人で話しながら食事を勧めていた。
「ねえ、また今度一緒に出掛けてくれない?」「いいけど、たまには久遠も誘ってやってくれないか?」

「え?あ、うん...わかった...」優海はしぶしぶ了承した。
優海を送迎車で、家まで送った。
送った後、久遠のことを思っていた。

琉生は久遠の気持ちを知っていた。小さい頃から久遠はずっと優海に思いを寄せていた。
久遠のことを考えると自分が婚約者なのはよくないとずっと思っていた。

だから、あの時久遠はあんな微妙な顔をしたんだ。やっと琉生は自分の中で納得ができた。
何としてもこの婚約話を正式なものにしないようにしないとと思っていた。

柚歩のスマホに新しく琉生の連絡先が追加になった。柚歩は少しのあいだ両手でスマホを握りしめて嬉しさのあまり目をつぶった。
「どうしたの?」「え、いや。何でもないです」柚歩は恥ずかしさのあまり正直に言うことができなかった。
その時、琉生の電話が会議室に鳴り響いた。琉生は相手を確認すると、電話に出ずに柚歩に向き合おうとするが、
「大切な電話かもしれないので、出てください」柚歩に促され電話に出る。
少し離れて対応するが柚歩は気を使って部屋を出ていこうとする。
「柚ちゃん、待ってて...」琉生は電話の相手に聞こえないように話し口を手で塞いで電話対応をしてすぐに切った。

「ごめんね。会社からの電話ですぐに帰らないといけなくなった。今度必ず連絡するから...」あの時のように琉生は柚歩の頭をポンポンとして足早に会議室を出ていった。

琉生は会議室を出て大輔に挨拶をして会社に戻ることを話し、YAMAMINEを後にした。

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