ずるい恋心
恋人
仕事ができるくせに自分のことになると頼りない雅之が、セクハラ疑惑をかけられたと聞いて驚いたが、さらに吉川常務の蜘蛛の糸に絡められるように常務の娘と結婚すると聞いて、普通なら二股とか出世を選んだと思うのだろうが、不思議とそう思うこともなく常務に嵌められたと考えているくらいには、私は彼を信用して愛していた。

そして彼が盛大な結婚式とヨーロッパへのハネムーンから帰って来てすぐに私たちは、いつも待ち合わせしていたBARで並んで座っていた。

「雅之、奥さん放っておいていいの?」

「俺はこの結婚を望んでいなかった。それは彼女と二人きりの時に告げたんだ。でも都合が悪くなると父親を引っ張りだしてくるから話がどんどん進んで、婚約解消は外聞が悪いからせめて2、3年暮らしてダメだったと離婚すればいいと言われた。まぁ、向こうはその間に仲良くなるだろうと思っているらしくて部長の椅子までちらつかされたよ。」

彼の話を聞きながら、この先、自分はどうすればいいのかと考えていた。

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