ずるい恋心
土曜日、待ち合わせ場所には仕事の時のようなきっちりとしたスーツと違い、ジャケットを羽織ってはいるがいつもよりラフな課長がいた。

「課長、お待たせしてすみません。」

「いや、まだ時間前だし。それと外で課長は止めて欲しい。」

「あ、そうですね。で、では、ま、雅之さんお願いします。」

一瞬、課長がびっくりしたような顔になった。

「いきなり名前呼びなんだ。思っていたよりぐいぐいくるタイプなんだ。」

その言葉で門倉さんと呼べばよかったと赤くなる顔を押さえながら、後悔していた。

デートは定番の映画を見て、ランチコース。
夕方には自宅へ送ると言われた。

映画は、話題のアクションもの……ではなく単館上映している海外の実話を元にしたヒューマンドラマ。少し難しい問題を取り上げた考えさせられる映画だった。

ランチはファミレスで、ランチセットにドリンクバー。

私が常務の娘と知っても気を使わないでくれて、自分がこういう人間だと教えてくれているようで、益々好感が持てた。

自宅前まで送ってくれた雅之さんにお礼を言うと真面目な顔になった。

「今日一緒に出かけて、俺のイメージ変わったと思う。違ったと思ったなら気にせず、常務に自分の気持ちを伝えて構いません。それじゃ、また会社で。」

「はい、今日はありがとうございました。」
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