不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす

 斗馬さんとソファに並んで座った直後、彼が私の肩に手を回そうとしたので、逃れるように距離を取った。

「気安く触らないでください」
「……どうした千帆。疲れたのか?」

 斗馬さんはとくに傷ついた様子もなく、お尻をずらして再び私の横にぴたりと身を寄せる。

 やめてと思う反面胸がどきりと跳ね、そんな自分にも腹が立った。

 騙されてはいけない。斗馬さんは私を裏切った男だ。

「斗馬さん」
「ん?」
「離婚してください」

 広いスイートルームがしん、と静まり返った。

 斗馬さんが美しい顔に困惑の色を浮かべる。

「なにを言っている。俺たちは結婚したばかりだろう。不満が生まれるほど生活をともにしたわけでもないのに、いったいどうした?」

 顔を覗き込むようにして尋ねられ、私は目を伏せる。

 そして、結婚式直前のことを回想した。



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