不屈の御曹司は離婚期限までに政略妻を激愛で絡め落とす

「ありがとう。その決断、絶対に後悔させないからな」

 力強く言った彼は、私の顎を引き上げて短いキスを落とす。しかし感情が昂っているせいか、一度離れた後も、もっともっとというように、キスの雨はやまない。食むように唇を愛撫され、時々音を立てて吸われる。

「んっ、斗馬さん、もうおしまいに……っ」
「これでもかなり自制している。もう少しだから……」

 もう少しと言いつつ、斗馬さんは唇の隙間からぬるりと舌を差し入れてくる。

 つい腰が引けそうになるが、斗馬さんの大きな両手ががっちり私の顔を固定しているため、されるがままに口内を蹂躙される。

 唇の戯れだけだったキスとは違い、室内に響くリップ音に卑猥な水音が加わって、背筋がぞくぞくした。

「もう少しって、もっと具体的に……っ」

 さっきの彼の発言を真似て、抵抗を試みる。

 斗馬さんが一度唇を離し、ほんの少し考えるそぶりを見せたのでホッとする。しかし、次の瞬間にはすぐさまキスの態勢に戻って言った。

「じゃ、あと十分」
「えっ? それは長すぎ――んぅっ」

 強引なキスで唇に蓋をされ、余計な発言はもう許されなくなった。逞しい腕に必死ですがりつき、涙目でぎこちなく彼の動きに合わせる。

 それでも斗馬さんは「かわいい」「美味しい」「上手だよ」と、時折うっとりした目で私を褒めた。

 視線と言葉と、それにキスの甘い感触で、思考がぐずぐずに蕩けていく。

 私はまたぼんやりとチョコレートに溺れていく自分を想像し、甘くて死んでしまう……と心の中で悶えた。

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