100万円はいつか
 彼の部屋でドラマを観ていて、宝くじのCMが流れた。

「ねぇねぇ、3億円あったら何したい?」
「多すぎて考えられない」


 ドラマに興味がないのか彼は仰向けになって本を読んでいた。
「じゃあ100万円は?」
「一気に減ったな。まぁでも現実的か」


 少し沈黙が流れた。
 
 想像しやすい(といっても到底手が届かないけど)金額だったからか、真面目に考えてくれて嬉しい。


「100万円あったら、お前との挙式費用の足しにとっておきたい」
 
 本で顔を隠す彼の耳は赤かった。


 この跳ねる気持ちをどうしていいのかわからず、クッションを強く抱きしめた。
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