すべての世界で、キミのことが好き❤~告白相手を間違えた理由
 学校からちょっと離れると、再び手を差し出してきたから、再び手を繋ぐ。

 そのまま家まで送ってくれるみたい。

 私と悠真がなぜか、そう、なぜか付き合うことになったのだけれど。

 問題だらけだよね、こんなの。
 私が好きなのは陸くんだし。

 正直、悠真のこと、カッコイイなぁとは思ったりはするんだけど、恋愛対象として見たことは、一度もない。

 あとは、桃音ちゃんが悠真のことを好きってことが気にかかる。

 これ、桃音ちゃんにバレたら絶対怒るよね……。友達じゃなくなってしまうかも知れないし。

 それに、なんか、陸くんにも知られたくないな。

 ってか陸くんに告白したかったのにー!!

 告白が上手くいって、付き合ったら行きたい場所とかも想像していたのに。

 複雑な気持ちになった。
 今から悠真に本当のこと話そうかな?

「あのね、私、実はね、悠真じゃなくて陸……」
「付き合うってワクワクするな!」

 再び彼は私の言葉をさえぎった。
 これ、言えない雰囲気だな。

 今正直に話すと、ウソついたのかとか思われそう。

 小さい頃、彼に小さなウソをついてしまった時があって。その時、彼がものすごく機嫌悪くなっちゃった記憶がある。

 休みの日、悠真に遊ぼうって誘われた。遊べる日だったのになんだか面倒くさくなって、お腹痛いって言っちゃって、断って。

 その日の夜にお母さんの前で悠真が私に「お腹痛いの大丈夫?」って質問してきた。その時に仮病使って遊びを断ったことを知らなかったお母さんが確か「結愛めちゃくちゃ元気だったよ」みたいなこと言っちゃったんだっけな? そう、私がその日お腹痛くなかったってことを彼がいる前で話しちゃったの。

 それから悠真、しばらく機嫌が悪くなっちゃって。キレた時の彼、怖かったなー。

 怖かったことランキングベスト3に入ると思う。あの時からもう、彼にはウソつかない!って心の中で誓った。

 今思えば、あの時、ウソついたの怒るくらいに、お腹が痛いこと、心配してくれてたんだよね。

 あー、でも、言うの怖いよー!
 とりあえず、今はこれだけは言っておこう。

「悠真、付き合ったこと、学校では隠しといてくれない? みんなに絶対言わないでほしいの。お願い!」

 両手を合わせて、頼み込んだ。

「……う、うん」

 ちょっと戸惑いも見えたけれど、素直に聞き入れてくれた。

 


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