転移したら俺に三十点をつけた女性にそっくりな公爵令嬢が隣国の王太子殿下に寵愛されて妃殿下になりました。
【5】どうやらやはり異世界にタイムスリップしたようです
――あれから一週間が経過した。
サファイア公爵家の園庭で、コーディと二人で休憩時間を過ごす。
「なぁ、レイモンド。ちょっと頼みがあるんだよ」
「なんだよ?」
「あのさ、公爵家の執事室とメイド室で親睦を兼ねて、この前と同じメンバーでまた一緒に飲もうって話しになったんだよ」
「はっ? この前と同じメンバー? 何それ?」
「もう忘れたのか? レイモンドとマリリンが付き合うきっかけになった親睦会だよ」
レイモンドとマリリンは執事室とメイド室の親睦会で親しくなったようだ。
一瞬、レイモンドは現世で公平たちとした合コンが脳裏を過りバカみたいに焦ってしまったが、現世では合コンには美波は参加していない。
「俺はいいよ。マリリンと付き合ってるし。コーディだって恋人いるだろ。わざわざ親睦会なんかしなくてもいいだろう」
「ただの親睦会だよ。侍女のローザさんも来ないし、若者だけの飲み会、気楽にいこうぜ」
「マリリンも行くのか?」
「もちろんだよ」
コーディは恋人がいるくせに他のメイドに浮気心でもあるのか、やたらと一緒に飲みたがる。
マリリンもマリリンだ。
断ればいいのに。執事室との飲み会に参加するなんて。マリリンは美人だし、レイモンドは胸騒ぎしかしない。
「マリリンが行くなら仕方がないな。他の執事に手を出されたくないし」
「バーカ、レイモンドの恋人に誰が手を出すんだよ」
(そうだよな。他の執事に誘われても、マリリンならきっと断る。誘惑に負けたのは俺なんだから。)
これ以上レイモンドはマリリンを裏切れない。現世でも美波に嘘をついてるのに、異世界でも公爵令嬢と浮気をしたなんて、もしもマリリンにバレたら俺達は終わりだ。
(メイサのいる屋敷に一人だけ残るよりマシかも。)
「じゃあ、レイモンドもマリリンも出席だな」
「わかった。参加するよ」
盛り場界隈にはあのタクシーの運転手がまたいるかもしれない。そう思ったら、半ば乗り気ではなかったが、レイモンドはメイサがいる屋敷に一人だけ残ることの方が不安で参加することにした。
◇
――それから三日後、親睦会の日。
コーディと外出する準備をしていると、執事室のベルが鳴った。
壁に設置されたランプ。ベルが鳴らされた部屋が赤く点滅している。
その点滅を見て、レイモンドとコーディは顔を見合わせた。
(それはメイサの部屋だった。
もう勤務時間外だ。何の用だよ。)
仕方なくレイモンドは室内フォンに出る。
「はい。レイモンドです」
『あーー! やっと出たぁーー! レイモンド、なんで部屋に来ないの。毎日コーディばかり、私から逃げれると思ってるの?』
ベロンベロンに酔っ払ってるメイサ。すでにロレツが回っていない。『これがサファイア公爵令嬢か? 隣国の王太子殿下の婚約者か?』レイモンドは受話器を手に呆れていた。
「メイサ様、どうされましたか? 今日は外出許可を頂いてますが」
メイサは外出許可と聞いて更に絡んでくる。
『外出許可? そんなもの取り消しよ。レイモンド、あなたリベンジするのが、恐くなったんでしょう。弱虫、負け犬、意気地無し』
「メイサ様、酔われているのですか?」
『酔ってないわ。私は体調が悪いのよ。早く部屋に来なさい』
「それならお医者様を手配しますが。侍女のローザさんに連絡いたしましょうか?」
(俺は酔っ払いの相手をしている暇はないんだ。体調が悪いなんて嘘に決まってる。)
サファイア公爵家の園庭で、コーディと二人で休憩時間を過ごす。
「なぁ、レイモンド。ちょっと頼みがあるんだよ」
「なんだよ?」
「あのさ、公爵家の執事室とメイド室で親睦を兼ねて、この前と同じメンバーでまた一緒に飲もうって話しになったんだよ」
「はっ? この前と同じメンバー? 何それ?」
「もう忘れたのか? レイモンドとマリリンが付き合うきっかけになった親睦会だよ」
レイモンドとマリリンは執事室とメイド室の親睦会で親しくなったようだ。
一瞬、レイモンドは現世で公平たちとした合コンが脳裏を過りバカみたいに焦ってしまったが、現世では合コンには美波は参加していない。
「俺はいいよ。マリリンと付き合ってるし。コーディだって恋人いるだろ。わざわざ親睦会なんかしなくてもいいだろう」
「ただの親睦会だよ。侍女のローザさんも来ないし、若者だけの飲み会、気楽にいこうぜ」
「マリリンも行くのか?」
「もちろんだよ」
コーディは恋人がいるくせに他のメイドに浮気心でもあるのか、やたらと一緒に飲みたがる。
マリリンもマリリンだ。
断ればいいのに。執事室との飲み会に参加するなんて。マリリンは美人だし、レイモンドは胸騒ぎしかしない。
「マリリンが行くなら仕方がないな。他の執事に手を出されたくないし」
「バーカ、レイモンドの恋人に誰が手を出すんだよ」
(そうだよな。他の執事に誘われても、マリリンならきっと断る。誘惑に負けたのは俺なんだから。)
これ以上レイモンドはマリリンを裏切れない。現世でも美波に嘘をついてるのに、異世界でも公爵令嬢と浮気をしたなんて、もしもマリリンにバレたら俺達は終わりだ。
(メイサのいる屋敷に一人だけ残るよりマシかも。)
「じゃあ、レイモンドもマリリンも出席だな」
「わかった。参加するよ」
盛り場界隈にはあのタクシーの運転手がまたいるかもしれない。そう思ったら、半ば乗り気ではなかったが、レイモンドはメイサがいる屋敷に一人だけ残ることの方が不安で参加することにした。
◇
――それから三日後、親睦会の日。
コーディと外出する準備をしていると、執事室のベルが鳴った。
壁に設置されたランプ。ベルが鳴らされた部屋が赤く点滅している。
その点滅を見て、レイモンドとコーディは顔を見合わせた。
(それはメイサの部屋だった。
もう勤務時間外だ。何の用だよ。)
仕方なくレイモンドは室内フォンに出る。
「はい。レイモンドです」
『あーー! やっと出たぁーー! レイモンド、なんで部屋に来ないの。毎日コーディばかり、私から逃げれると思ってるの?』
ベロンベロンに酔っ払ってるメイサ。すでにロレツが回っていない。『これがサファイア公爵令嬢か? 隣国の王太子殿下の婚約者か?』レイモンドは受話器を手に呆れていた。
「メイサ様、どうされましたか? 今日は外出許可を頂いてますが」
メイサは外出許可と聞いて更に絡んでくる。
『外出許可? そんなもの取り消しよ。レイモンド、あなたリベンジするのが、恐くなったんでしょう。弱虫、負け犬、意気地無し』
「メイサ様、酔われているのですか?」
『酔ってないわ。私は体調が悪いのよ。早く部屋に来なさい』
「それならお医者様を手配しますが。侍女のローザさんに連絡いたしましょうか?」
(俺は酔っ払いの相手をしている暇はないんだ。体調が悪いなんて嘘に決まってる。)