【完結】終わった恋にフラグはたちません!
第五話 ☆ 今は2:8の割合かな


──“バイセクシャル”


今日一日だけで、何回このワードを検索にかけただろう。きっと私の検索だけで一気に検索ワード数、No.1をとってしまう勢いかもしれない。

“男女どちらにも性愛感情が向く性のあり方”

ハァ── ……ゆうちゃんがバイセクシャルだって浅見君達が言ってたけど……もしかして冗談かなんかだったんじゃないかな? ゆうちゃん、特に何も言ってなかったし。

今日だけで突っ込みどころ満載な出来事がたくさんあったのに、私にとっては一番このことが頭に強く残っているようだ。

“バイセクシャルの特徴”
そんな見出しが検索時に出てきて私は思わずポチってしまった。

一、口調や仕草が柔らかい
──確かにゆうちゃんは柔らかい。それがずっと優しくて穏やかな人なんだと思っていた。

二、男女から好かれる
──た、確かに好かれてた! 女性からは性的目線で、男性からは仕事的目線で好かれていた。

三、同姓の芸能人好き
──うっ、確かに……テレビ見ている時は必ず男性芸能人を誉めるほうが多かったような。

四、結婚に興味がない
── …………結婚はしたね。一年で破局はしたけれども。

他にも色々なことが書かれていたが、段々と考えることに疲れ見るのも嫌になってしまった。一旦スマホの電源を落とし鞄に戻しながら私は細く長い溜め息を吐く。

─────
そして時刻は、二十二時五十分──
今私は、澪先生の部屋の前に立っている。結局、あれから澪先生達は締め切りに追われ、私はまた会社に戻り巻さんから色々と引き継ぎなどをしてもらったりで。やっと今、コインロッカーに預けていた荷物を取って戻ってきたところなのだ。

渡された合鍵でここまで来たはいいけども……なかなか部屋に入りづらいなぁ。勝手に入っていいものなのか? それともチャイムを鳴らす……いやいや、でもまだ仕事をしていたら筆を止めてしまう── う─ん……

あれこれ考え過ぎてしまうと行動力が著しく低下してしまうのは私の悪いところ。こういう時は何も考えずに行動を起こしたほうがいい時もある。一大決心でもするかのように私は持っていた鍵を強く握りしめ、鍵穴目掛けて差し込もうとしたその時──いきなり玄関のドアが開いたのだ。

「伊織ー、マンションに入ってから十五分は経ってるよ。エントランスからここまでどんだけ時間かかってるの─?」
「み、澪先生?!」

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