【完結】終わった恋にフラグはたちません!
第十七話 ☆ 巻き込まれっぱなしの二人

マンション開発が進み、一年前、ゆうちゃん()の最寄り駅は綺麗に改装され、一気に人も増えたように感じる。
また、それに合わせて近くのお店なども綺麗にリニューアルするところが多い。

この “アクア・ビストロ” というカフェもそのリニューアルしたお店の一つ。
可愛い内装にリニューアルしてからは若い女性客も増え、かなりの盛況っぷりを見せている。
そのカフェで亜里沙さんと十八時に待ち合わせをした私は、お見合いの裏事情話しを聞き始めて一時間が経とうとしていた。

「──そっか、そんな事情があったのね」

亜里沙さんの裏事情を全て聞いた私は一気に肩の力が抜けると、食い入る様に聞いていたその体を一旦背もたれに全て預ける。
それと同時に、勝手に嫉妬して空回りな行動ばかりを取ってしまった自分が急に恥ずかしくなってきた。

「本当にすみません。昨日、急に澪先生の自宅に伺ったのも泊ったのも……もしかしたらまた彼が現れてくれるんじゃないかと、試すようなことをしてしまって…」
「それは全然大丈夫なんだけども……でも、亜里沙さん、このままずっと追いかけっこのままじゃ何も解決しないんじゃ……あ、彼氏さんのご自宅には行ってみた?」
「はい、何度か尋ねてみたんですがしばらく帰ってないみたいで」
「そう、なんだ。う─ん、困ったね……行方知れずって感じか」

そう話しながら彼女の顔をチラッと見ると、心労なのか……亜里沙さんにかなりの疲れが見てとれる。

まったく……その彼氏さんもどういうつもりなんだろ?
極道の娘だからって、それを聞いた途端連絡が途絶えるなんて。ちゃんと話し合って向き合ってから、二人でどうするか決めればいいのに。……亜里沙さん、話すととってもいい子じゃない。
……まぁ…私も最初は、ライバル視しちゃったけども。

「でも……何だか凄いなって思う。亜里沙さんは好きな人を見失わず、ずっと追いかけることができる姿勢って尊敬する」
「そんな…私はなかなか現実が見れないだけで。……あ、そう言えば立木さんと澪先生は夫婦、だったんですよね?」
「あ─、うん。澪先生から聞いた?」
「はい」
「なんかねぇ─……八年も経って私は澪先生のこと忘れたつもりではいたんだけど……やっぱりダメだね─」
「ダメ?」
「うん。澪先生はやっぱりいい男だな─って何度でも再認識させられちゃって好きになってしまうの……相手がどう思っているのであれ、これってもう諦めないで突き進めっていうことなのかなって」
「ふふっ……立木さんはとっても素敵な女性です。大丈夫ですよ、澪先生はきっと──」

プルルルルップルルルルッ……

亜里沙さんと楽しい会話をしている最中、私のスマホが突如鳴り響く。

「はい、澪先生? これから帰りますので夕飯はもう少し待って……あ、はい、亜里沙さんから大体の事情は聞きましたけれど……えっ!? ──わっ、かりました、今すぐ帰ります!」

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