【完結】終わった恋にフラグはたちません!
第二話 ☆ 再恋への序章?


“ごめん……離婚してください“


あぁ、今朝は寝覚めが悪い。
明らかにいつもより最悪な環境で寝たにも関わらず、朝までぐっすりと寝入ってしまった。おかげで精神的苦痛があったにも関わらず体調は万全だ。

──それなのに、あの時のことが夢に出たせいで、今更思い出さなくてもいいことまで頭の中をグルグルと駆け回っている。

そう……もう一つ、言い忘れていました。──私、バツイチなんです。
八年前、二十二歳の時に二年付き合った二つ年上の男性と結婚──別にできちゃった結婚というわけではない。
初めて本気の恋をすることができた男性……言わば初恋のようなもの、初恋が結婚までいったのだからとても理想的な展開なのかもしれない。

──でも、一年後、突然離婚届を手渡された。
大手の商社に勤め冷静沈着でクールでとても優しい、それにルックスも良いから結婚してもかなりの女性にモテていたと思う。それに時々怪しい行動をとることもあった。

離婚の理由を聞いても彼は何も話さなかった。ごめんと言うだけ……きっと彼は他に好きな人ができてしまったのだと私は勝手に納得することにした。だって、理由がわからないほど辛いことはない。

それに彼のことはとても愛していたが、私もいつの間にかある窮屈さに押し潰されそうになっていた時期だった。
そして、私は素直に離婚を受け入れた。

その後も彼の勤め先だけは知っていたが、今となってはもう彼の連絡先もどこに住んでいるのかさえもわからない──もう私達の人生が交わることはないのだろう。


コミケが開催される最寄り駅に降り立つと、既に大勢の人達が入り口へ向かって長い列を組んでいる。自分なりに朝早く起きてき来たつもりが甘かったようだ。その行列を見た私は夢のことを忘れようと、再度気持ちをコミケへと奮い立たせてみた。

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