初めて恋と知った時私の全てがあなたになる
鬼?それともグリズリー?
結婚したら秘書の仕事を辞めて家庭に入る。

今の派遣先では社長秘書をしていたのだが、社長が病気のため入院することになった。

そのため社長の代わりを副社長が務めることになった。

もちろん副社長の秘書が自動的に社長代行の秘書になった。

そのため予定よりも早く派遣先との契約が切れた。

あと三ヶ月で人材派遣を辞めるのに、なんとも中途半端すぎる。

でも残り三ヶ月の私を誰が使うのだろう。

そう思ったのだが、そんな私を欲しがる会社がいたのだ。


「え? 私をですか?」

『そうなの、それで急で悪いんだけど今からこっちに寄れるかしら』

「わかりました」

社に着くと、社長が待ってましたとばかりに私を出迎えた。

「早く来てちょうだい。あなたに合わせたい人がいるの」

「私にですか?」

「そうよ。きっとびっくりするわよ」

社長室に入ると、お客さまがいて……。

「あっ、長嶺社長。ご無沙汰しております。その節は大変お世話になりました」

 私は勢いよく頭を下げた。

「鮫島さん、会長よ。長嶺会長」

「あっ、失礼しました」

「いいよいいよ。君にとって私は社長だからね」
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