7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…

 ある日。
 翔次は高熱を出して学校から帰って来たが、疾風も奏も不在だった。

 玄関を入った瞬間に倒れてしまった翔次だったが、誰かに発見される事もなく夜まで玄関に放置されていた事があった。

 その日はお手伝いも一人しかいなかった事から、一人で仕事をしていたため、発見できなかったようだった。
 しかし目が覚めても、玄関に放置されてたままだった事は翔次にとっては言葉にできないくらいショックが大きく、それ以来無口になり喋らなくなった。

 小さな頃から空手を習っていた翔次は、弱い者いじめをする奴が許せなく、目にすると助けていた。
 次第に悪い連中とも絡むようになり、黙って夜家を抜け出し遊ぶことも多くなり、高校生になると一人だけ寮付きの高校へ進学してしばらく家から離れていたが大学進学と共に家に戻るように言われ仕方なく家に戻った翔次。

 殆ど必要なこと以外は喋らない翔次に、疾風が心配して声をかける事あったが、必要意外は頷くか首を振るだけだった。

 大学を卒業すると、翔次は再び家を出る決意をして海外に就職を決めて暫く日本を離れた。
 その時に自分は家を継がないと決めて、背中に龍の彫り物を入れた。

 このまま家族とは絶縁して消えてしまおうと決めた時。
 兄の奏弥が現れた。

「翔次、俺の為にずっと辛いを思いをさせてきた事を許してほしい。俺が、弱い人間だから翔次に辛い思いをさせてばかりだった。俺、一生かかっても償うから…だから…戻って来てくれ。父さんも母さんも、ずっと翔次の事を探しているよ。俺と同じ、ずっと翔次に謝っている。俺は、身体も弱いからいつ何が起こるか判らない。だから父さんの後は継げないから国際弁護士になったんだ」

 そう言って来た奏弥に、翔次は冷たい視線を向けた。

「兄貴が後を継げないから、僕に継いで欲しいって事なのか? 」

 そう言われて、奏弥は胸が痛んだ。

「そうじゃないよ。父さんは、ずっと翔次に跡を継いでほしいって願っていた。だって、俺より翔次の方が頭いいし。翔次はあの大きな会社のトップに立つに相応しい人間だから。ずっと、翔次が黙って耐えていた事、みんな知っているから」
「フーン」

 そう言われても素直に受け入れる事は、翔次にはできなかった。

 それから住まいを変えて、海外で点々としていたが、いつも奏弥が見つけ出して尋ねてくるばかりだった。
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