7日後の約束は〇〇…秘密を抱えた2人の奇跡の恋物語…
 
 救急車を見送り疾風が戻ってくると、平然と受付に亜紀がいた。
 
「林さん、ちょっといいかい? 」
「なんですか? 社長」

 気持ち悪いくらいの笑顔を浮かべる亜紀を、疾風は待合室のソファーへ呼んだ。

 亜紀は何か期待しているかのような目をして、疾風を見ていた。

「林さん。今日は、副社長を訪ねて来た人がいたようだね? 」
「はい、いました。でも、見かけない人でなんだか嫌な感じがしたので帰ってもらいました。お弁当を届けにに来たって、言ってましたけど。気味が悪くて」
「気味が悪い? 」
「だって、すごいオバサンで。あんなオバサンが、副社長の知り合いのはずないし。どうせ、どっかのストーカーオバサンだと思いました」
「そうか。それで、あんなに酷い事を言って追い払ったと言うのか? 」
「酷い事? 私、当たり前の事しか言っていません」

 当たり前のこと?
 疾風は内心怒りが込みあがってきたが、グッとこらえていた。

「林さん、悪いけど。受付として、君は相応しくないようだ。今日限りで、退職してもらう」
「え? どうしてですか? 」

「君が追い返したと言う人は、私の息子の婚約者だ」
「婚約者? 嘘ですよね? だって、見るからに随分と年上じゃないですか」
「年齢は関係ない。息子が選んだ大切な人だ」

 亜紀はすっかり動揺した顔になり、目を泳がせていた。

「息子の大切な人に、あんな酷い事を言う人を受付に置いておくことはできない。それに、どんな人が来ても丁寧に対応するのが受付の仕事だ。君は我が社の受付である前に、初めて来るお客様に対しての顔でもある。それにも関わらず、そんな態度をとる人は我が社の受付には置いておけない」
「そんな…私は悪くありません! だって…」
「もういい、君の態度の悪さは他の社員からも聞いている。これは、良いタイミングだ」

 それだけ言うと疾風は去って行った。
 亜紀は呆然と佇んだまま何も言い返せなかった。


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