美しすぎる魔王様に助けられて異世界で偽装結婚? でも美容師としても働きますよ。
第5話 魔界の街
アルトと私は大きな鳥のコンドールに乗り街に降り立った。
この魔界に来た時に、窓から見えていた人が乗る鳥だ。

コンドールはふかふかの羽毛に覆われた鳥で、見た目以上に乗り心地が良い。
アルトは私をコンドールの背中の前側に乗せて、自分の腕の中で私を守るようにしてくれていたのだ。
まだ景色を見る余裕は無かったが、慣れれば快適な乗り物なのだと思う。
しかし、別の意味で私には乗り心地が悪い。
アルトの腕の中で心臓が爆発しそうなのだ。

「真由、着いたぞ。ここはシュークリームという街だぞ。」

シュークリームとは、とても美味しそうな名前だが、町並みは絵本の中に入ってしまったような、中世のヨーロッパを思わせる、風情ある街並みだった。
石畳の道路や、煉瓦色の建物がとても素敵で、どこか懐かしい感じもする。

人々はアースカラーの優しい色で作られた服を着ている。
植物などで染色をしたような色なのだろうか。
女性は少し長めの丈のワンピース、男性は裾の縮まったズボンに白いシャツが多い。
また、いかにも騎士らしい服装の男性も歩いていた。

アルトは変装で、その騎士たちと同じような服を着ていた。
私も街に溶け込むように、ベージュで少し丈の長いワンピースを用意してもらった。


< 66 / 144 >

この作品をシェア

pagetop