美しすぎる魔王様に助けられて異世界で偽装結婚? でも美容師としても働きますよ。
第7話 初めてのデート

「真由、今日は店を休むのだろ…よければ一緒に出掛けないか?」

アルトが珍しく一緒に朝食を食べながら話しをした。
いつもは朝食を食べる時間も惜しむように、仕事へと向かってしまうのだが今日は一緒のテーブルについたのだった。
今日は少し余裕があるのだろうか。

「嬉しいですが…アルト様はお忙しいのではないでしょうか?毎日遅くまでお仕事されているし…」

アルトは心配する私に微笑んで見せた。

「たまには息抜きも必要だ。それに、真由を連れて行きたい場所があるのだ。二人で出かけるのもたまには良いだろ。」

「嬉しいです。ありがとうございます。」

アルトに気が付かれないよう、努めて平静を装ったが、自然と口角が上がってしまう。
私の心は自分でも驚くくらいに弾んでいたのだ。
アルトと一緒に町まで行ったことはあるが、それは仕事を探す目的だった。
仕事以外でアルトと出かけるのは始めてだ。
これは、アルトと初めてのデートと言う事になるのかも知れない。

朝食が済むと、アルトは早速出かける準備を始めた。
少し遠出をするということで、護衛も兼ねて魔法使いのロジャーとアイリスの二人が同行してくれることとなった。

今日はコンドールに直接乗るのではなく、コンドールが2羽で私達が乗った箱のような物を運んでくれる。
ここではこの乗り物を、コンドールカレットと呼ぶらしい。
それは、馬車の馬が鳥に変わったような乗り物で、空飛ぶ馬車といった感じだ。
それはまるで遊園地のアトラクションのようだった。

コンドールカレットに4人で乗り込み出発。
夢中で窓から外を眺めている私にアルトが声を掛けた。

「真由、今日はなんだか無邪気な子供のようで楽しそうだな。」
「…はい。何もかもが夢のようで…素敵ですね。」

そんな私にアルトは優しい笑顔を向けてくれるのだった。



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