甘いお菓子のように

2

まだ、9時過ぎとだけあって人の数はまばらだった。

バリスタで高山くんがコーヒーを入れるとわたしも続いてカフェラテを選択した。

話があるってなんだろう。

一瞬、彼女と別れるという甘い期待を抱いたが、そんなことはないと思って払拭した。

窓際に寄りかかり、コーヒーを一口飲んでから彼は「ごめん」と言ってきた。

「え?」

「あの時のこと。軽率な行動をして悪かった」

軽率な行動・・・。

その言葉を聞いて少し胸がチクンと痛んだ。

「俺の彼女、看護師なんだ。忙しくてさ〜お互いなかなか会えなくってそれで」

彼女、看護師なんだ。

そんなすごい女性と付き合ってたなんて、わたしには絶対勝ち目がないじゃんと思った。

「なんか、こー、たまってたというか。イライラとかまぁ、色々だよ。だからそれで、中島見てなんか可愛いって思ってたらこうなっちゃったわけ」

「わたしのことは好きなの?」と言いかけてやめた。

逆に「彼女さんのことは好きなの?」と聞くと「まぁ、一応彼女だしね」と彼は答えた。

「でも、これだけは誤解しないでほしい。中島のこと可愛いなぁと思ったし、心の底から抱きたいって思ったのは本当だから!なんとも思ってないからそうゆうことをした訳じゃないってことは分かってほしい」

でも、彼がそう言っても結局は、わたしを選んでくれないんだなと思った。

彼女と別れて、わたしを選んでほしかった。

そしたら、彼の過ちもすんなり許せたのに。

「とりあえず、このまま俺の隣で手伝うの気まずいと思うから紅子さんにはアニメセクションに戻してほしい旨は伝えておくよ」

「じゃぁな、悪かった」と言って彼はカップをゴミ箱に入れると早々に戻っていった。

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