エデンの彼方でいつかまた
再会
その店は個室があるが、プライバシーは完全に守られている。
完全予約制ということもあるが、客同士が廊下ですれ違うこともない作りになっていた。

外側からだと全くわからないが中庭があり、レンガと石畳、花と植物の調和が見事なフレンチガーデンが広がっている。

ヨーロッパ風だけではなく、部屋によって和風の庭もあるらしい。

それに合わせた美しい小物と、センスの良いテーブルがセッティングされた素晴らしい部屋だった。

「すごいお店にお部屋……。絶対入れないところだもんね、東連地(とうれんじ)さんに感謝して働こう」

老女に感謝しつつ、瑞希は先ほどまで客の入っていたその個室の清掃を始めようとしたが……。

「あれ? 落とし物かな」

ソファにスマートフォンが置いてある。
いや、状況からしてバッグや服から落ちたのだろうか。

持ち主も困るだろうと先に受付に届けに行こうと決め手袋を外し、ポケットに入れて、それを持ち部屋を出たときだ。

部屋を出たところで、ちょうどひとりの女性と出くわした。
長い髪を美しく整え、服も化粧も完璧な装い。

「あら? あなた……」

瑞希の体がギクリと震えた。
足や体が震え声も出ない。

忘れようもない、その声。

散々、自分を扱き下ろし、あることないこと言いふらし、嫌がらせをした人物の声は呪いとなって瑞希を硬直させた。

そんな瑞希を、見下した瞳が嘲っている。

「白羽さん、だっけ……。お久しぶりね」

天明 留乃(てんめい るの)が立っていた。




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