それは手から始まる恋でした
「ご飯は普通に食べたいの」
「ご飯の後は俺の言う事なんでも聞く?」
「うん」

 私の右手はようやく解放され食事を始めることができたが、右手の代わりに私の太ももが人質に取られた。高良の手が置かれ、スカートをはいていた私の太ももは生足が露わになっていた。

「恥ずかしい」
「いいじゃんこのくらい」

 高良はやめる気がない。高良の手は私を挑発するかのように動いている。高良は私の反応を楽しんでいる。私は何とか耐えながらご飯を食べ終わった。
 高良は私の食べ終わりを待ってましたと言わんばかりにがっついてきたが、私は嫌な予感がして一旦トイレに行った。

「ごめん。今日は無理」
「は? なんで?」
「その、月一の……」
「あぁ……」

 高良は察してくれたようだ。徐々に痛みは増していった。高良は私を抱きしめて寝てくれたが駄目だ。足がだるい。高良が邪魔だ。
 私はそっと高良から離れ、キッチンに行き薬を飲んだ。そして部屋に戻って高良から離れ眠った。

 朝起きると高良は再び私を抱きしめていた。

「おはよう。体調大丈夫?」
「うん。ご飯食べて薬飲めば大丈夫」

 高良は私の体調を心配してくれているようで朝食を素早く用意してくれた。彼氏ってこんなに心配してくれるものなのだろか。

「唇とか紫だけど本当に大丈夫なのか?」
「うん。薬が効けば大丈夫だから」
「今日会社休むか?」
「大丈夫。まだ研修期間だし、もう風邪で2日も休んでるし、こんなことでは休めないよ」
「でも……」

 家族でもこんなに心配してくれたことがなかった。私の家族は私だけが酷い。母も姉も全然症状がなく、仮病だ痛がりすぎだと笑われていた。
 私は高良に近づき、ぎゅっと抱きしめた。高良は私の頭を撫でてくれた。こんなことで心が落ち着き痛みが和らぐ。
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