年下男子は恋愛対象になりますか?
「お腹痛い気がするし、帰りたくなってきた……」

「ここまで来たんだから覚悟決めて。ほらドア開けるよ」

お店の前に到着しても、なかなか入りたがらなかった。例の大学生───隼人君の顔を覚えていないせいか、車の中よりも緊張しているように見える。

そんな由夏をよそに、お店のドアを開けるとカランカランと音が鳴った。女性店員と目が合ったので予約していることを告げる。

残念。隼人君じゃなかったか。
話を聞く限り、出迎えてくれると思ってたんだけどな。

「いらっしゃいませ。ご予約の高橋様ですね。お待ちしておりました、どうぞこちらへ。」

高橋というのは由夏の苗字。
由夏がお店を予約していたけど、私の後ろにずっと隠れているから代わりに告げたのだった。

席に案内されている時に店内を見渡してみると、隼人君の特徴である黒髪で細身の店員が数人いた。その中の1人と目が合い会釈されたので、私も同じように返す。

どの子が隼人君か分からないけど、由夏1人じゃ絶対来なかっただろうし感謝してよね。
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