年下男子は恋愛対象になりますか?
【34】大好きなんです
『由夏さん、今ってどこにいます?』

「映画館出て車に向かってるとこ」

バイトが終わった頃に隼人君から電話がかかってきた。会う約束していたし、これは想定済み。

お店を出てから数時間が過ぎ、恥ずかしい気持ちは減っていた。今はそれよりも……

『え、あれから映画観てたんですか?1人で行かないで俺と行きましょうって言ったじゃないですか。確認なんですけど、これから会えるんですよね?』

「うん。今から行くね!あのさ、電話したまま帰ることって出来たりする?って、隼人君自転車だし無理だよね!ごめん、気にしないで!」

ちょうど良い時間の映画がホラーしかなくて、時間潰しにそれを選んだ。好んで観ることはないけど、平気でしょと思ったのがそもそもの間違い。

うん、夜に1人で観るんじゃなかった。
車のシーンとか運転中に絶対思い出しちゃう。

『由夏さんがそんなこと言ってくるなんて珍しいですね』

「あー、ごめん!何でもないから本当に気にしないで!じゃあ、また後でね」

一方的に電話を切って、いつもは聴かないラジオを大音量でかける。ラジオに向かって相槌をうったりして、端からみたら完全に怪しい奴。

幸い、隼人君のアパートは車で数分の距離。お店や街灯も沢山あったので、そこまで怖くなることはなかった。

今日も隼人君が来るまでコインパーキングで待とうと思ったら、メッセージで先手を打たれていた。

"コンビニ寄ってから帰るんで、中で待っていて下さい"と。
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