【番外編】円満な婚約破棄と一流タンクを目指す伯爵令嬢の物語
番外編1. コンドルがコンドルになった日
「どうしよう、俺、大丈夫かな」

 ゴーグルをつけたコンドルが震えている。

「コンドルとコンドルの絆が試される瞬間ね!」
 わくわくしながら言うと、コンドルが大きなため息をついた。

「それ、励ましにも慰めにもなってねーから!さらにプレッシャーかけてどうしたいんだよっ、赤毛!」

 ちなみに、わたしはもう髪を赤く染めてはいないのだけれど、二人っきりの時だけコンドルはわたしのことを相変わらず「赤毛」と呼ぶ。
 なぜ二人っきり限定かというと、騎士団の体験訓練に参加していた赤毛のアーシャが実はわたしだったということを知られたくないから…だけでなく、レイナード様が拗ねるからだ。

 コンドルがわたしのことを、特別な呼び名で呼ぶのが気に入らないらしい。
 コンドルはわたしにとってはただのコンドルであって、コンドル以外の何者でもないといくら説明しても
「それでも気に入らない。ていうか、それ意味が分からない」
の一点張りだ。


 今日は、ルシードとディーノが中心となって作った「コンドル1号」のテスト飛行を実行する日で、わたしとコンドルは今、学院の校舎の屋上にいる。

 鳥が羽を広げた形を模して組んだ木枠に軽くて丈夫な布を貼り、風魔法を付与したもので、補助の素材はコンドルの風切り羽とグリフォンの羽。
 その下に革製の丈夫なベルトとグリップを付け、乗り手の上半身を固定する設計になっている。

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