【番外編】円満な婚約破棄と一流タンクを目指す伯爵令嬢の物語
「ところで去年の設計図、あのときまだ僕、入学したてで口を挟めなかったんだけど、魔導回路が少しおかしかったよね」
「そうなのか!?」

 ルシードの発言に驚いたディーノは、研究室の奥から丸められた大きな図面を持ってきて机の上に広げる。

 ここと、ここ、おかしいよね?と言うルシードに、ディーノは少し考えている様子だった。
「でもさ、これって先生が最終的にGOサイン出してるんだろう?先生も気づかなかったってことか?」

「うーん、そこまではわからないけど、失敗を繰り返しながら少しずつ完成に近づけばいいと思っていたのかもしれないよ?」

 その大きな設計図を横から覗いてみたけれど、わたしには何が何やらさっぱりわからない。

 邪魔をしても悪いと思って「じゃあ、わたしはこれで…」と暇を告げて、まだグリフォンの羽を持ったままであることに気づいた。
「これ…もう必要ないってことでいいのよね?」

「ちなみにそれ、ずいぶん小さいですけど、グリフォンのどの部分の羽かわかりますか?」

 振り向いたルシードに尋ねられて、コンドルとともに首をかしげた。  

「どこかしら?」
「幼鳥の羽だから小さいけど、グリフォンは下半身がライオンなんだから、上半身のどこかだよなあ?」

 そりゃそうでしょうよ!

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