愛人~アイレン~
一人にしないで__
真司が帰って来たから出迎えると、大きな紙袋を右手に持っていた。


「何か買ったの?」
「欲しいジーパンが有ったから買った」
「幾らしたの?」
「十六万と三万くらいで、二十万はしなかった!!」
「……」


私は、この前まで生活費すらまともに貰っていなかった。


私の着る服は安い服ばかりだし、量だって少ない。
なのに、こんな贅沢ばかりしている真司。


ヴィンテージのジーパン。
革ジャン。
靴。
バイク。


真司は自由にお金を使っているのに、私にはプレゼントのひとつも無い。
釣った魚には餌はやらないタイプとは真司の事だ。


私は、少しでもお金を貯めたくて生活費をカツカツに切り詰めているのに__


文句の一言くらい言いたいが、喧嘩になったら面倒臭い為、部屋に戻りベッドに横になると瞼を閉じた。



□□□


気が付いたら、少し空いたカーテンの隙間から光が漏れている。


いつの間に寝てしまったのだろう。
真っ暗だった外はすっかり明るくなっており、眩しくて目を細めた。


起きて最初に手を伸ばしたのはスマホ。


健から連絡が来ていないか気になって仕方がない。
確認するとメッセージが大量に受信されており、開いた。
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