砂浜に描いたうたかたの夢
「信用……できない?」

「違うよ! 信じてる! その、友達にパスワード変えられちゃって、今スマホが使えないんだよ。だから交換しても、連絡が取りづらいんじゃないかなって……」



謝ったと思いきや、言い訳が始まった。

パスワードを変更された……⁉ 本当に⁉
警戒してるわりにセキュリティガバガバだなぁ! なんか嘘っぱちく聞こえるんですけど⁉

でも……もし本当なら、SNSの更新とDMの返事ができなかった理由ってそれだったり……?



「……分かった。今日は沢山お世話になったから、凪くんの気持ちを優先します」

「ありがとう」



渋々了承し、時間と場所を念入りに確認。

不安が和らいだのか、引きつっていた口元が緩んで、両目も三日月のように緩やかな弧を描いている。


もう、ズルいよ凪くん。聞きたいことが山程あったのに、その柔らかい笑顔で全部吹っ飛んじゃったよ。

口を尖らせながらも、推しとデートできるという現実に心を弾ませたのだった。
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