砂浜に描いたうたかたの夢
第4章

相合傘とうたかたの夢

朝食を終えて一息ついた、土曜日の午前9時過ぎ。



「おじいちゃん、これはハンドル? 鏡?」

「それはハンドル。鏡はこっち」

「じいちゃん、余ったやつでヘルメット作っていい?」

「もちろん。ひいおじいちゃんも喜ぶと思うよ」



祖父と智の3人で居間のテーブルを囲み、組み立てられた爪楊枝と割り箸に、小さく切ったキュウリとナスをくっつける。


朝から一体何をしているのか。野菜を見て気づいた人もいるだろう。


今日はお盆初日。帰省する曾祖父のために、精霊馬と精霊牛を作っているのだ。



「にしても、ひいじいちゃんが原付乗りだったとはなぁ」

「だよね〜」



相槌を打ちながらハンドル部分に爪楊枝を挿し込む。


今私達が作っているのは原動機付自転車。
自動車の運転免許を持ってなかった曾祖父にとって、相棒のような存在だったとのこと。

外見上、大型バイクや外車とか、スポーツカーを乗りこなしてそうなイメージがあったから、ちょっと意外だった。
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