砂浜に描いたうたかたの夢
「あらま、お客さんかい?」



客間の襖を開けて荷物を運んでいると、腰の曲がったおばあさんが部屋に入ってきた。



「こんにちは! 凪の友人の佐倉 理桜です!」



理桜が挨拶したのを筆頭に、鋼太郎と桃士も名乗って頭を下げ始める。

額にうっすら残る傷痕。当時小3だった自分の記憶にもうっすらと残っている。



「こんにちは。お久しぶりです。凪です」

「……ユキエ?」



曾祖母の元に向かい、数年ぶりに挨拶をした。

しかし……返ってきたのは、亡き祖母の名前。



「お母さん、違うよ。この子は凪くん。娘じゃなくてひ孫だよ」

「ひ孫……?」

「そうだよ。ごめんね、ここ数年で目が見えにくくなってるんだ」

「いえいえ。似てるとよく言われるので全然」



老眼ならば仕方がない。長年顔合わせてなかったし、それにひ孫も多いだろうし。

そう言い聞かせるも、心の片隅では、ちょっぴり寂しいなと感じたのだった。
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