【辛口ホームドラマ】かもいけ海岸
第9話
8月5日の深夜11時40分頃であった。

いまこく(今治国際ホテル)から飛び出して逃げ回っていたひなこは、今治市内のどこかで2人組の男につかまった。

「イヤ!!やめてー!!おとーさーん!!おかーさーん!!」

ひなこは、車に無理やり乗せられたあと行方不明になった。

その頃であった。

ところ変わって、大西町内の国道196号線沿いにあるラーメンショップ(終夜営業のラーメン屋)にて…

ひなこにお見合いをすっぽかされた瑛太は、より激しい怒りに震えていた。

テーブルの上には、ラーメンの大盛りとはねつき焼きギョウザ2人前と白ごはんとアサヒスーパードライの瓶ビールが置かれていた。

ぎょうざをつけるたれがラー油でヒタヒタになっていた。

ラーメンのスープは、脂でギトギトになっていた。

ふざけやがって…

フナイリのひとり娘がお見合いをすっぽかしたことが原因で、オレはハメツだ…

その時であった。

愛也がユーレーみたいな姿で店にやって来た。

愛也は、店に入るなり瑛太に食べさせてくれと頼んだ。

「なあ…」
「なんぞぉ!!」
「食べさせてくれぇ~」
「なんや!?食べさせてくれだと!?」
「(私立高校)のリョウから追いだされた…」
「ほやけん、食べさせてくれと言うのか!?」

瑛太は、より激しい怒りを愛也にぶつけた。

「食べたいのであれば、頼め!!」

愛也は、泣きながら瑛太にあわれみを乞うた。

「親から仕送り止められたから、こづかいねえんだよぅ…」
「ほやけん、食べさせてくれと言うのか!?」
「なんだよぅ…あんたはお腹がすいて困っている人に暴力を震うのかよぉ~」

愛也は、ブチ切れた瑛太が持っていたサバイバルナイフで左肩を切られた。

「ああああああああ!!」
「オドレどこの与太校のクソガキや!?」
「助けてくれ~ああああああ!!」

愛也は、瑛太が持っていたサバイバルナイフでズタズタに切り裂かれて殺された。

瑛太は、殺人の容疑でケーサツに逮捕された。

それから8時間後の8月6日朝7時くらいであった。

場所は、大西町べふの海岸にて…

瑛太とのお見合いをすっぽかして逃げ回っていたひなこは、あられもない姿で横たわった状態で亡くなった。

事件現場に、愛媛県警のパトカー10台が停まっていた。

20人の捜査員たちが、海岸で現場検証をしていた。

ひなこを集団で犯した容疑者の男たちがショウコを持ち去ったので、容疑者の身元の割り出しが困難になっていた。

8月8日頃であった。

ところ変わって、かもいけの家にて…

家には、鹿之助と市役所の職員8人と智之の知人の弁護士さんがいた。

ひなこが集団レイプ殺人事件で亡くなった…

智之夫婦に疎まれた愛也は、戸籍を抜かれた…

8月7日に、きぬよが急性ショックで死亡した。

鹿之助は、智之夫婦から『ひとり暮らしは危険だから、介護つき老人ホームに入りなさい!!』と怒鳴られたので、ひどく落ち込んでいた。

家の前に、高田引っ越しセンターのトラック3台が停まっていた。

引っ越しセンターの作業員さんたち9人が、家の中から、家財道具を運び出す作業をしている。

この時、松山の実家へ帰っていたしほこが近くの借家にいた。

しほこは、部屋に残っている着替えとメイク道具一式をクローゼットから取り出したあと、H&Mのロゴ入りの紙袋に詰めていた。

しほこと温史が一時暮らしていた借家は、家主が『ヤーメタ』と言うて投げたあと不動産屋さんに売ってしまった。

敷地内の住民たちは、不動産屋さんから8月末日までのタイキョカンコクを受けたので、タイキョする準備を進めていた。

残っている着替えとメイク道具一式を取り出したしほこは、ものがぎっしり詰まっているH&Mのロゴ入りの紙袋と貴重品が入っている赤茶色のバッグを持って借家を出た。

その後、100メートル先に停まっているタクシーに乗ってJR今治駅へ向かった。

今治駅からせとうちバスの特急松山市駅行きに乗り換えて、松山へ帰る予定である。

しほこは、結婚することに違和感を抱えているので、永久にひとり身で通すことにした。

しほこが大西町を出てから10分後のことであった。

家の前から、高田引っ越しセンターのトラック3台が出発した。

家財道具は、東温市にある一時預かりのトランクルームへ運ばれる。

その時であった。

鹿之助が、市役所の職員たちに強引に引きずられて家から出てきた。

(ズリズリズリズリズリズリズリズリ…)

「離せ!!ワシはこの家で一生を終えるんじゃ!!」

市役所の職員たちは、怒った声で鹿之助に言うた。

「わがままいわれん!!」
「この家は、たった今(不動産屋さん)の売り家になったのよ!!」
「ワシはきいとらん!!」
「あのねおじーちゃん!!この家は、福良で暮らしている息子さん夫婦からの申し出で売り家になったのよ!!」
「ワシはどこへ行けばいいのだ!?」
「おじーちゃんは、きょうからひうち苑(老人ホーム)で暮らすのよ!!息子さん夫婦が一時金払っているのよ!!」
「離せ!!」

鹿之助のさけびもむなしく、職員たちに車に乗せられた。

その後、車は家の前から出発した。

(カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン…)

車は、その途中の市道のふみきりで停止した。

その間、鹿之助は車中で暴れ回った。

「離せ!!」

(ドカッ!!)

右足で職員ふたりにケリを入れた鹿之助は、車から逃走した。

「待ちなさい!!」

車から逃げ出した鹿之助は、遮断機が降りているふみきりに強引に入った。

このあと、線路内では岡山高松行きの特急列車が通過する予定であった。

鹿之助は、松山方面へ向かって線路内を走った。

たいへんだ!!

非常ボタンを押して列車に知らせないと…

市役所の職員は、とっさになって非常ボタンを押した。

(ピーッ、ピーッ、ピーッ、ピーッ、ピーッ、ピーッ…)

非常ボタンを押した作業員たちは、スマホで高松の司令室に非常ボタンを使用したことを伝える電話をかけた。

この時、岡山高松行きの特急列車は星ヶ浦海浜公園付近の線路で緊急停止した。

線路内をめちゃくちゃに走っていた鹿之助は、あわてて線路の外に出た。

その後、かもいけの家へ向かおうとした。

その時であった。

(キーッ!!ドスーン!!)

鹿之助は、ふみきりから200メートル先にある交差点で黒のポルシェにはねられ。

ポルシェの中から、20代の男ふたりが出てきた。

男ふたりは、タブレットでオンラインゲームをしている最中にながら運転による交通事故を起こしてしまった。

「どうしよう…」
「どうしようって…」
「オレ、こわいよぅ…インターンでがんばって内定もらったのに…ながら運転で交通事故を起こしたことがバレたら、取り消されてしまう…」
「オレは、カノジョのご両親から結婚を許されたばかりなんだよ…せっかく挙式披露宴の日取りが決まったのに…」
「とにかく運べ!!」
「運ぶって…」
「はねられたじいさんを車に載せるんだよ…」
「分かったよぅ…」

ながら運転の車にはねられた鹿之助は、男ふたりに車に載せられた。

その現場をキンリンの住民が目撃した。

「コラー!!」
「やべー、逃げろ!!」

男ふたりが乗ったポルシェは、その場から走り去った。

この時、ポルシェは線路内に侵入して今治方面へ走った。

「オイ、線路から出ろ!!」
「こわいよぅ…こわいよぅ…」

大パニックを起こした2人が乗っているポルシェは、ハンドルを切りそこねたはずみで線路沿いの県道に転落した。

(ドスンドスンドスン)

そして…

「わあああああああ!!」
「助けてくれぇ!!」

(キーッ!!ドスン!!グシャ!!ドカーン!!)

男ふたりが乗っているポルシェは、波止浜方面から走ってきた太陽石油のロゴ入りのタンクローリーに激突してつぶれた。

その後、タンクローリーが大爆発を起こして炎上した。

(バリバリバリバリバリバリバリバリ!!ガシャーン!!)

その頃であった。

売り家となった家が、大型パワーショベルによってこっぱみじんに壊れた。

その頃、しほこは松山市駅行きのせとうちバスに乗っていた。

バスは、大須伎(おおすぎ)のバス停を出発したあと次の停車地・玉川支所へ向かっていた。
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