星巡り合う七夕の夜に願うこと
淡い夢を抱いて入学した学園。


そこはきらきらした星空のような、夢いっぱいの国だと思っていた。


しかし現実はそうじゃない。休み時間になると教室を抜け出し図書室へ、空気を読みすぎて喋れない毎日から現実逃避。


そんな事をしていれば、当然友達もできない。誰とも話さない日だってあるくらいだ。もともと対人関係が苦手で、コミュニケーションが限りなく低い。


……あーあ。こんなはずじゃなかったんだけどなあ。



ここは姫と騎士になったパートナーが、一緒に暮らす事のできる、女の子が憧れる夢のような制度がある。――しかしそんな相手がいるはずもなく、独身のみが集う学生寮のひとつ星宮寮が私の箱庭である。



ここは王子様を、お姫様を、見つけるところ。


もう季節は夏。七夕。


学園でも七夕祭りが行われて、織姫と彦星の衣装を借りて写真撮影できたり、青いスイーツやお茶が用意されたりと大賑わいだった。本格的だったのが、七夕のためだけにつくられたプラネタリウムだろうか。


姫と騎士はみんな楽しそうだった。自分は自由開放されている図書室でひとり静かに物語を読んでいただけ――。



このまま部屋にいたらもっと沈んで、浮上できなさそうだ。少女はそっと部屋を抜け出し、秘密の通路から外へ出た。


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