猛毒蟻(ヒアリ)
第12話
恐ろしい事件は、ここよりクライマックスヘ向かって加速した。

事件は、10月20日の正午前に発生した。

場所は、きよひこの一家がかつて暮らしていた家にて…

(ウーウーウーウーウーウーウーウー!!)

事件現場に、名古屋市の消防本部の緊急車両20台が到着した。

その後、重装備をしている消防士たちが重火器を持って降りたあと現場の家に近づいた。

事件現場の家は、猛毒のヒアリの大群におおい尽くされていた。

家はきわめて不衛生な状態であったので、家を焼き払うことになった。

現場付近の住民の皆さまは、消防士の男性から『これからヒアリの大群を焼き殺す作業を始めます…家の中に入って、厳重に戸締まりをしてください』と言う知らせを聞いたので、ものすごく不安定な気持ちになった。

消防士のリーダーの男性が『点火!!』と叫んだ。

同時に、重火器から火が放たれた。

ヒアリの大群は、一瞬にして殺処分された。

その直後、熱田区の中央消防署の消防士たちと地区の消防団の団員たちが、し烈な殺傷力を持つ薬物を持って各家庭ヘ向かった。

到着後、庭の敷地にヒアリがいないかどうかの確認した。

ヒアリを発見した場合には、ソクザに薬物を投入する体制が取られた。

この時、一軒の家の庭にヒアリがいる巣が発見された。

家に住んでいる女性が叫び声をあげた。

「ああああ、そのアリヒアリよ。」
「間違いない!!」
「尻の部分に針があるぞ。」
「まけ!!薬物をまけ!!」

消防士たちは、ヒアリの大群が出入りしている地割れの間によりし烈な殺傷力を持つ薬物を投入した。

ヒアリによるパニックは、やがて愛知県内の各地にカクサンした。

住宅街を始め、外国の企業…特に中国や台湾の企業と取引をしている貿易会社や運送会社の敷地などにクジョの範囲が広まった。

ヒアリによるパニックは、西日本から東日本の太平洋側ヘカクサンした。

東海道沖・伊勢湾・駿河湾・遠州灘・相模灘・東京湾・大阪湾・紀伊水道から四国の太平洋側・九州南部までの海域を航行している中国・台湾船籍に加えて、フィリピン・ベトナム・ミヤンマー・ラテンアメリカ地域やアフリカ・ロシアの各船籍のタンカーや中国・ロシア海軍の軍艦全てがリンケンの対象になった。

リンケンの対象となっている船舶が海上自衛隊の潜水艦と在日アメリカ軍の潜水艦に周囲を取り囲まれた。

その後、在日アメリカ軍の輸送ヘリコプターに乗っている在日アメリカ軍の兵士たちがロープを伝って甲板に降りた。

その後、リンケンが始まった。

リンケンを行った結果、積み荷の中からヒアリが大量に発見されたので、その場でクジョされた。

しかし、リンケンを振り切って強引に入港しようとしていたタンカーが航行していると言う情報が夕方5時前に入った。

リンケンを振り切って強引に重要港へ入港しようとしていたタンカーは、台湾船籍のタンカーであった。

以前、金城埠頭で発生した例の重大事件の時に問題の木材を積んでいた。

あの時のタンカーが海上保安庁の巡視艇からの呼び掛けを振り切って和歌山港へ入港しようとした。

この時、徳島県沖で待機していた在日アメリカ軍の空母に積まれている爆撃機が出動した。

問題タンカーがリンケンを振り切って和歌山港へ向かっている…

在日米軍の爆撃機が問題のタンカーにクラスター爆弾を投下した。

(ヒューーーーーーーーーーーーーッ!!バババババババババ!!ドカーン!!ドカーン!!)

リンケンを振り切って和歌山港で強引に入港しようとしていた台湾船籍のタンカーに対して、爆撃機から容赦なくクラスター爆弾が投下された。

(ドカーン!!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!ズブズブズブズブズブズブズブズブズブズブ!!ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!)

爆撃されたタンカーは、ものすごく恐ろしい轟音を立てて撃沈した。

ところ変わって、東海道沖にて…

東海道沖では、リンケンを振り切って強引に目的地へ向かっているタンカーに対して、在日アメリカ軍とグアム島から出撃した米軍の爆撃機による絨毯爆弾(じゅうたんばくげき)が行われた。

爆撃を受けたタンカーは、次々と撃沈した。

さらに地上では、ケーサツが中国や台湾やラテンアメリカの国と取引している貿易会社に対して強制家宅捜索が入るなどで事態はコントンとした。

それから数日後のことであった。

ところ変わって、挙母(ころも)のマヨネーズ製造工場にて…

(チャリン、ピッ、ポトッ、カチャ、ジャーッ…ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ…)

よしえは、工場の敷地内にある自販機コーナーにいた。

紙コップのドリンクを買ったあと、自販機コーナーにあるベンチに座って休憩した。

しかし、この日は仕事ができる状態ではなかった。

よしえはここ数日の間、ドウキイキギレメマイを起こした上に、オウトゲリもヒンパンに起こしたので、元気がなかった。

なんでなのかしら…

この頃、ドウキイキギレメマイが起こっている上に、オウトゲリまで起こっているわ…

苦しい…

苦しいわ…

(ピンポーン…ピンポーン…)

この時、構内放送のチャイムがなったあと、従業員さんの呼び出し放送がスピーカーから聞こえた。

スピーカーからよしえにお電話がかかっているので、受付に来て下さいと言う知らせを聞いた。

よしえは、大急ぎで受付ヘ行った。

ところ変わって、工場の受付にて…

よしえは、工場の受付の人に伝えたあと受話器を受け取った。

電話は、豊橋で暮らしているナイトクラブのママからであった。

「もしもし、よしえです。」

受話器の向こう側にいるナイトクラブのママは、ものすごく切羽つまった声で『よしえちゃん、気を確かにして聞いてちょうだい!!』と言うてから、蒲郡市の中心部で発生した通り魔事件のニュースを伝えた。

「もしもし、もしもしママ…蒲郡市の中心部で通り魔事件で…エーーーーーーーーッ!!そ、そ、それ、本当ですか!?家出中のみちるが、蒲郡の中心部の商店街の通りでナイフを振り回して、大勢の人たちに大ケガを負わせて、ケーサツに逮捕された…もしもし、もしもし、それで、みちるは警察署にコウソクされているのね…今から警察署へ行きます!!」

みちるが蒲郡市の中心部のアーケード街で通り魔事件を起こした。

ナイフを振り回して暴れて、通行人数人を刺して大ケガを負わせた…

その後、みちるはケーサツに逮捕された。

よしえは、大急ぎでタクシーに乗って蒲郡市の警察署ヘ向かった。

よしえが乗っているタクシーの中にて…

タクシーのカーラジオのスピーカーから、蒲郡市の中心部で発生した通り魔事件のニュースが伝えられていた。

ニュースを聞いたよしえは、くすんくすんと泣いていた。

みちるに刺された通行人のうち3人が死亡した。

それを聞いたよしえは、大声をあげて泣いた。

どうして…

どうしてこんなことになったの…

アタシは、みちるに命を大事にする教育をわかるまで厳しく教えたのに…

どうして、みちるは恐ろしい事件を起こしたのか…

もうダメ…

もうダメ…

アタシ…

いっそのこと…

死にたい…

(キーーーーーーーーーッ!!バタン!!バタバタバタバタバタバタバタバタ…)

タクシーから降りたよしえは、大急ぎで警察署の中に入った。

警察署に入った時、署内はものものしい雰囲気に包まれていた。

よしえは、警察署の少年課の職員の男性と一緒に会議室ヘ行った。

みちるは、取り調べに対して黙秘権を行使した。

たまに言うても、わけのわからない言葉をならべたので、取り調べが止まった。

少年課の職員からアレコレめんどいことを聞かれたよしえは、気が狂いそうになった。

「あの~、アタシ…気が狂いそうなのです…」
「もうしわけございません。私ども少年課は、みちるさんが通り魔事件を起こした原因を調査をするために…」
「そんな調査して何がしたいのですか?」
「ですから、私ども少年課は…」
「あの~、すみませんけれども、みちるはアタシが生んだ子じゃないのです。」
「えっ?それはどういうわけですか?」

よしえは、怒りを込めた表情で職員の男性に言うた。

「みちるは…最初のダンナが、酔っていた勢いで持っていた人のカバンの中に入っていた赤ちゃんでした。」
「えっ、それは本当の話ですか?」
「本当です。」

職員の男性は、なおも困り果てた表情でよしえに言うた。

「それで、そのまま育てたのですか?」
「はい。」
「ケーサツに届けを出しましたか?」
「いいえ!!」
「みちるさんの戸籍は?」
「入れてません。」
「そうですか…」

よしえは、みちるはよしえの戸籍にもきよひこの戸籍にも入っていないと職員に言うた。

職員の男性は、みちるにきょうだいはいますかとたずねた。

よしえは、ムッとした表情で言うた。

「みちるにきょうだいがいたかって?」
「ええ。」
「いませんでした。」
「いなかった?」
「みちるのきょうだいのみちよは、ダンナがユーカイしてきた子です。」
「ユーカイされた子…」
「ええ。」
「どういうわけですか?」
「最初のダンナが、かけマージャンにのめり込んでスッテンテンにしたのです。その時にダンナが1000万円の借金を抱え込んだのです…身代金目的でダンナに連れ去られた子です。」
「本当ですか?」
「本当です!!」

よしえは、ひと間隔を空けて職員の男性に過去に胎内の赤ちゃんを叩いて死なせたことを話した。

「みちるとみちよがダンナの勝手で家に連れて来たときに、アタシの胎内に赤ちゃんを叩いて殺しました。」
「どうして殺したのですか?」
「育てる自信がありませんでした…それだけです。」

よしえは、男性職員にこう言うた後にグスングスンと泣いた。

その後、よしえは男性職員にグスングスンと泣きながら今のキュウジョウを訴えた。

「グスングスングスングスン…グスングスングスングスングスン…」
「奥さま、どうなされましたか?」
「グスングスングスン…アタシ、取り返しのつかないことをしました。」
「取り返しのつかないことをした…」
「グスングスングスン…アタシ、中学生の時…生まれて来たばかりの赤ちゃんを死なせたことがありました。」
「中学生の時に赤ちゃんを死なせた…」
「グスングスングスン…グスングスングスン…」

よしえが落ち着いて話をすることができなくなったので、男性職員は調書を作ることを中止した。

よしえは、警察署を出たあと挙母の寮へ向かった。

その日の夕方5時頃のことであった。

よしえは、矢作川の河川敷の公園にいた。

よしえは、川のせせらぎを聞きながら考え事をしていた。

こんなはずではなかったわ…

アタシは、何のために44年間生きてきたのか…

実家に帰っても、アタシの居場所はない…

アタシのことを愛してくださる人は、どこにもいない…

もういいわ…

もういいわ…

そしてドラマは、いよいよクライマックスに突入した。

「ギャァァァァァァァァァァ!!誰か来てぇ!!」

10月30日の朝5時半過ぎのことであった。

金城埠頭の近くにある公園の緑地にて、子供のガイコツが横たわっていた。

ガイコツの周りに猛毒のヒアリがウジャウジャと集まっていたのを通りかかった住民の女性が目撃したので、より強烈な叫び声をあげて、助けを求めた。

事件発生から60分後、愛知県警の車両20台が到着した。

その後、現場検証が行われた。

この時、ガイコツの横に血だらけのエアガンが見つかったので、その場でカイシュウされた。

「課長。」
「エアガンはカイシュウしたか?」
「はい、カイシュウしました。」
「一刻でも早く、容疑者を割り出せ!!」
「はっ。」

その後、愛知県警の捜査員たちは、カイシュウしたエアガンとガイコツをカンシキにかけて調べた。

その結果、子供のガイコツの身元は、以前よしえが暮らしていた家の近辺で発生したエアガン事件の加害者の児童であると判明した。

ガイコツの横にあったエアガンが男の子の所持品であることが判明した。

そして、エアガンによしえのものと思われる血液型の反応が出た。

愛知県警はよしえを重要参考人として呼び出すことを決定した。

よしえは、ケーサツから追われる身になった。

その日の正午前のことであった。

よしえはこの日、極度のノイローゼにおちいったので工場をやめた。

よしえは、工場にやめる手続きを取った後工場を出た。

そんな時であった。

よしえは、愛知県警の刑事3人とソウグウしたので、その場から逃走した。

「コラ!!待ちなさい!!」

よしえは、一生ケーサツから追われる身として生きて行くことになった。

【逃亡】
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