黒幌に呑み込まれる
惚れる
黒幌━━━━━

裏の世界で有名な最強の組織。

実態は謎で、ヤクザも恐れる裏の支配者軍団。

その頂点に君臨する男は、まさに裏の王だと言われている。

この男に逆らえる人間は、いないと言われている。



「あ!
お疲れ様ですっ!!」

「ん。
こいつ?」
咥え煙草で、颯爽と現れた男。
オーラが凄まじい。

この男がそこにいるだけで、圧迫感のようなものがある。

「はい。
この前の襲撃の手引きをしたヤツです」
「へぇー、お前か!」
男は吸っていた煙草の煙を、相手の男に吐いた。

ゲホッ!ゲホッ!と咳き込みむせる。

「綺麗な顔して、やること汚ねぇなぁー」
「すみません!
許してください!!」

「謝っても、許さなーい!
…………ってことで!
この綺麗な顔、潰しまーす!!
まずは、喉を殺っとかないと!」

ゴッ!!と音がして、男の喉が殴られた。

“あがっ!!!”と変な声が出て、喉を潰された。

それからひたすら殴られ、そのまま絶命したのだ。


「じゃあ、後始末頼むわー」
後ろ手に手を振り、去っていく男。

ちなみに絶命している男は、あるヤクザ組織の組長である。
更に、男とは親子程離れている。

そんな人間が恐れる男。


男は、帰路につきながらスマホを操作した。

ある女性から、メッセージが入っていて確認する。

『黒部くん。お疲れ様。
今日、手伝ってくれてありがとう。
あと……告白の返事だけど………
明日、会って伝えます。
じゃあ、また明日職場で!』

メッセージの内容を見て微笑み、そのメッセージをなぞった。


そう━━━━━
言わずもがな。
男は、この“黒部 真幌”である。



でも誰も、真幌が黒幌のトップだとは知らない。


まさか━━━━“暗い”“キモい”“ウザい”の真幌が黒幌のトップだなんて、誰も思わないだろう。



これは、この黒幌・黒部 真幌に狂おしい程の愛情に呑み込まれた女・麦倉 神楽の話である━━━━━━




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