熱く甘く溶かして
 智絵里は頭を優しく撫でられるのを感じた。ふと手を伸ばしてその手を掴もうとすると、温かい腕の中に抱きとめられる。

 恭介の匂いがして、智絵里は体の力が抜けた。

「ん……おはよう……」
「おはよう。ご飯出来てるよ」
「本当? さすが恭介だわ……」
「ちゃんと寝られた?」
「おかげさまでグッスリ。寝過ぎなくらい寝てる」

 恭介は智絵里の隣に寝転んで、腕の中の智絵里を愛おしそうに抱きしめる。

「今日はさ、家から智絵里の会社まで歩いてみようか。俺は電車通勤だから、朝は一緒に行けないからさ」
「でも、携帯のナビ機能あるから行けるよ」
「お前……ちょっとはデートとか、イチャイチャムードとか考えない?」
「……そういうの慣れてないから、ちゃんと恭介がリードしてくれないと無理」
「ふーん……リードねぇ……」

 すると恭介は智絵里の唇を塞ぎ、朝とは思えないくらい激しいキスを繰り返す。智絵里は昨夜のキスを思い出して体が熱くなる。しかし唇を離した恭介はいたずらっぽく笑うと、そのまま立ち上がる。残された智絵里は力が入らず、ベッドの上で息を乱す。

「じゃあご飯たべようか」
「……こんなのずるい……!」
「リードしてって言ったのは智絵里だろ? 俺は智絵里ともっとイチャイチャして愛し合いたいって思っているから。とりあえずキスは解禁されたから、いずれお前から俺が欲しいって言わせるからさ」

 恭介の背中を見ながら、ドキドキが止まらなくなる。こんな恭介、知らないよ……。男の人になった恭介はあまりに刺激的過ぎて、つい口を滑らせてしまいそうになる自分に驚いた。

< 36 / 111 >

この作品をシェア

pagetop