熱く甘く溶かして
今かな……恭介はポケットに手を入れる。そして智絵里の手を取り甲にキスをした後、彼女の指にダイヤのついた指輪をはめる。
「智絵里、結婚しよう。俺がずっと智絵里を守る。言いたいことを言い合って、俺たちらしい幸せを見つけて行こう」
いつまでもこちらを見ようとしないが、智絵里の肩が震えているのを見て、恭介は力いっぱい抱きしめる。
「ねぇ、それってどっちの泣きなの? 嬉し泣き? 拒絶反応?」
恭介が笑いを堪えているのがわかり、智絵里は恥ずかしくなって彼の上から降りようとしたが、腰に腕を回され身動きが取れなくなる。
智絵里は観念したように恭介の首に腕を回すと、力いっぱい締め上げる。
「嬉しいからに決まってるでしょ!」
「く、苦しいんだけど……」
「私を不安にさせた分、たっぷり苦しむがいいわ」
「智絵里ってば……!」
その時にふと力が緩み、恭介の耳元に智絵里の吐息が降りかかる。
「恭介……もう一度言ってくれる?」
あぁ、もう本当にどうしようもない。
「……結婚しよう、智絵里」
「はい……お願いします……」
涙と笑顔を浮かべる智絵里に、恭介はそっとキスをする。
「私……いろいろ恭介に迷惑かけちゃうかもしれないよ……」
「大丈夫、俺がちゃんと支えるから」
「気分屋だし、かなり面倒くさい女だよ……」
「そんなこと知ってる。今更言われてもね」
「それに……んっ……」
智絵里の言葉を恭介が口付けるで塞ぐ。何度も舌が絡み、智絵里は何も考えられないくらい溶けていく。唇が離れた時には立っていられず、恭介の胸に倒れ込む。
「グチグチ言わなくても、智絵里の全部受け止める覚悟だから安心してよ」
「うん……」
恭介に抱えられ、智絵里は室内のベッドまで運ばれる。
「俺は智絵里の全てを愛してるよ。だからさ、余計なことは考えられないようにしてあげる」
恭介にキスに酔いながら、智絵里はそっと目を閉じた。