絶対的恋愛境界線〜当て馬だってハピエン希望です!〜
越えられない恋愛境界線
 久しぶりにサークルに参加するため、徳香は体育館に向かっていた。もう始まっている時間だったが、特に慌てる様子もなく歩く。

 先ほど雪乃から、仕事が終わらないから今日は休むと連絡があり、徳香はやる気が出なかった。

 サークルメンバーからの要望で、ここのところ金曜日に活動が入っていた。次の日が休みだから、飲んで帰ろうというのが狙いらしい。肉体労働の徳香自身も、金曜日の活動はありがたかった。

 修司にフラれてから約二週間。徳香の中でもだいぶ吹っ切れてきた。大丈夫と思えたからこそ、今日こうして来ることも出来たのだ。

 ただ、このサークルにいる意味が見出せなくなっていたのも事実で、修司にフラれた今、バスケをするためだけに留まる気が起きなくなっていた。

 それにあの夜以降、信久との関係もギクシャクしていた。普段通りメッセージを送っても、彼の反応が以前とは違うような気がしたのだ。

 きっと私が何かしたんだ…ーーでもその答えがわからず、どうすることも出来ない。それでも信久との関係をなくしたくなくて、いつもと同じ振る舞いをするしかなかった。

 なんかもう頭がぐちゃぐちゃ……やっぱり辞めようかな……サークルーーそんな考えが頭をよぎる。

 更衣室に入ると誰もいなかったので、ゆっくりと着替えを済ませる。それから荷物を持って体育館の中に入っていった。

 試合が既に始まっていて、楽しそうな声が響く。しかしその中に修司の姿はなかった。

 荷物を置こうと壁際に歩いて行くと、そこに修司が立っているのに気付き、戸惑いを隠せず挙動不審になる。とりあえず徳香は深呼吸をしてから修司に笑いかけた。

「こんばんは。笹原さんが試合に参加していないなんて珍しいですね」
「うん、実は小野寺さんを待ってたんだ」
「私……ですか?」

 徳香は荷物を置くと、修司の隣に立つ。彼は少し困ったように頭を掻きながら、言葉を探しているようだった。
< 96 / 133 >

この作品をシェア

pagetop