お見合い婚にも初夜は必要ですか?【コミック追加エピソード】
写真の河合くんは困りながらも笑顔を振りまいている。きっと、この場を盛り上げようと頑張ったんだろうなあ。そしてこれは私個人の意見ですが、女装似合い過ぎです。ご馳走様です。

「俺が結構飲まされてたから、河合のヤツ、罰ゲームくらいは自分が引き受けようって思ったんだろう。俺とも写真を撮ったよ。たぶん、誰かのスマホに入ってると思うから、探すけど……」
「あ、うん。その写真は見たいけど、充分、状況はわかったかな」

ばっちりメイク&女装の河合くんが高晴さんにしなだれかかった図が想像できた。なにしろ、河合くんは他の社員何人もとそういう写真を撮ってるもの。
あの晩、酔いつぶれた高晴さんを送ってきてくれた彼が、大変な試練を乗り越えてきた身だとは知らなかったよ。本当にお疲れ様です。

……そして真実が判明! 私ってば、またしても誤解から河合くんに嫉妬してたのね! マッサージ器に続き二度目!

「雫は、俺がそういう店で女の子を侍らせていたんだと思ったんだね」
「……うん」

無言。気まずい無言だ。
すると、高晴さんががばっと頭を下げた。

「すまない、雫。俺は兆徹くんに嫉妬していた」

え、えええ? いきなり? 私の謝罪終わってないけど。
高晴さんは顔をあげ、真っ直ぐに私を見つめて言う。

「本当はきみが好きな男っていうだけで、心中穏やかじゃないんだ。それは二次元でも三次元でも。だけど、嫉妬でファン活動まで邪魔したくない。仕事だって関係している。俺なりに我慢しているつもりが、本人を前にしたら溢れてしまった。本当にすまない。子どもじみた態度を取った」
「あのね、兆くんに恋愛感情みたいなものはないよ。私、リアコ勢じゃないし、そこはきっちり線引きするほうだから」

私は慌てて、高晴さんの顔を覗き込む。今更言い訳みたいになってしまうけれど、そこまで嫉妬されていたとは思わなかった。

「わかってる。きみが彼にリアルに恋するはずがないと信じているのに、嫉妬を抑えられなかったんだ」

高晴さんがうなだれる。私は高晴さんの手に触れ、彼を見あげた。
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