木苺 ~甘酸っぱいもの~
「まーちゃん…?」

茉白の夫・魁(かい)が顔を覗き込む。

「ボーッとしてどうしたの?」

同じ職場の2人は、昼食も一緒に会社の外で食べているのだが、ボーッとしていたようだ。

「魁君…。
左耳が聴こえなくなった事、思い出しちゃった💦」

魁は、『あー…』と呟くと、茉白を抱きしめた。

「まーちゃん、俺はまーちゃんに絶対手をあげないから大丈夫だよ」

「ありがとう、魁君」

茉白も魁に手を回したその時、

「田村さんって本当に可哀想よね~」

背後から、茉白の事を話す声が聞こえた。
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