秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
 平日の夜、仕事から帰宅した大雅は珍しく不機嫌だった。私に不満をぶつけるわけではないものの、こっそりため息をはく姿を目にして心配になる。

「大雅、なにかあったの?」

「千香……。来週なんだけど、京都への出張が入っちゃったんだよ。はぁ。泊りがけとか、憂鬱だ……」

 夕飯の後に三人でくつろいでいたところで、大雅がいかにも行きたくなさそうにつぶやく。

「金曜日に出て土曜に帰ってくる予定だ。――陽太、パパを忘れないでくれよ」

 たった一晩いないだけで忘れるはずがないと、陽太にしがみつくようにしている大雅に苦笑した。

 寂しいのは私も陽太も同じだけれど、大雅が弁護士という仕事に誇りを持っているのを知っているから、元気づけて送り出してあげたい。

 迎えた出張当日、大雅は終始心配そうな顔をしていた。

「すぐに返せないかもしれないけど、なにかあったら遠慮なくメールも電話もしてね」

「わかった」
 
 もちろん、朝晩のメールは送るつもりだったし、それ以外にも陽太の写真も送信する気でいる。

「夜はちゃんと戸締りするんだよ。風邪をひくといけないから、外出は必要最低限でね。あとは……」

 日に日に私たちに対する過保護さが増しているのは、気のせいだろうか。
 いくつもの注意事項を言い残して、大雅は渋々出勤していった。

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