秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
「勧告の段階で、父親が責任をもって彼女を見張るという約束がされていた。端から完全に期待していたわけじゃないけど、思った通りそれも無理だったみたいだ」

 見張ると言っても、梨香はとっくに成人した大人でお金も自由に使える。父には仕事があるのだから、四六時中見ているわけにもいこない。
 彼女を溺愛する母だって、まったく当てにならない。それどころか、あの人は梨香のやりたいように支援しかねない。

 なにかしらの対策はしたかもしれないが、結果として梨香は自由に動き回れてしまった。

「父は母と姉のいいなりだから、どうしたって無理強いはできないと思う」

 彼らに情けをかける必要性は、いっさい感じない。あえて厳しく対処しなければ、再び同じ過ちを繰り返しかねない。

「改めて、千香に確認したい。千香はご両親やお姉さんと、完全に縁が切れても後悔はしない?」

 振り返ってみれば、私がしたのは突然家を飛び出して一方的に連絡を絶っただけだ。放っておいてほしいと言ったが、決別を示す明確な宣言にはなっていない。
 父のメールだって未だに受信しているという、中途半端なやり方がいけなかった。
 
 そういう曖昧な態度が、いつか私が戻ってきてサポートすると、ありえない期待を抱かせていたのだろう。

 自分だけならともかく、私には愛する夫と息子がいる。大切な家族の安全が脅かされる可能性があるのなら、もうこのまま放置するわけにはいかない。
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