秘密のベビーのはずが、溺甘パパになった御曹司に一途愛で包まれています
 幸いにも、私の仕事はパソコンがあればどこでだってできる。幼い陽太も、新しい環境にきっとすぐに慣れてしまうだろう。

 でも、彼のご両親への挨拶はどうするのかとか、婚姻届の保証人は誰にお願いするのか、考えることはたくさんあって、一日でどうこうできる話じゃない。

 そもそも、彼のご両親は私との結婚を許してくれるのだろうか。

「またいろいろと難しく考えてるでしょ?」

 大雅にはなんでもお見通しなのか、それとも私がわかりやすすぎるのか。一言も発していないのに、すべてを察せられている気がする。

「ちゃんと準備はできているから。うちの両親には、千香と子どもの存在も話してある」

「え?」

「陽太の父親が自分だっていう確信までは得られてなかったけど、その可能性が高いと白状してきた。不誠実すぎるってしこたま叱られたよ」

 眉間にしわを寄せたところを見ると、それなりに激しいやりとりがあったのかもしれないと想像する。

「子どもの父親が俺だったとしたら、きちんと話をして千香の意向を確かめて来いって。もちろん、言われなくてもそうする気だったけどね。そのうえで、俺が千香を幸せにしてあげられたら許すって」

「そ、そう」

 私の返事を得る前から、ご両親に打ち明けているなんて驚いた。
 許すと言ってもらえたとはいえ、それは責任を感じてのことだろう。私の印象は、きっとそれほどよくないのだろうと表情を曇らす。
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