攫い



「ねぇ都……どうしたの?」




こんなこと思っちゃだめだって分かってる。
だけど少しだけ……都が怖い。



すると、細い指がそっと伸びてくる。
器用にシャツのボタンを外され、襟を捲られた。




「都っ、やめ」




とっさに胸板を押せば、荒っぽく両手首を掴まれて、フェンスに縫いつけられてしまう。
力の差があり到底敵わない。




「みや、こっ」


「……」




緩むことのない手つき。
結び切った口からはなにも発してくれない。



ただこちらを見つめて、それから、あらわになった私の鎖骨に唇をうずめた。



一点を吸われ、痛みが走る。




「ぁっ……」




冴にも優にも植えつけられたその感覚。



都のくちびるが、いちばん強くて痛かった。




「………」




静かに顔を持ち上げた都のまなざしは、溢れんばかりの熱をはらんでいる。



優しくて、爽やかで



いつも王子様のように私を守ってくれていた都が、一匹の獲物を自分のモノにしようと、ひたすら執着する獣のように見えた。



拮抗する理性と欲の天秤が大きく傾いて、今にも食べられてしまいそう。



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