攫い
ひとり感傷に浸っていると、冴がふいに立ち止まった。
気づけば畦道を抜け、林道の中にいた。
つられて私も足を止める。
前のふたりもそれに気がついて冴を見ていた。
「冴……?」
名前を呼べば、冴が「なぁ」と下のほうを指さした。
視線で追えば、そこには、膝ほどの高さの古びた祠がポツンと存在していた。
苔むした体。
今にも千切れそうな細い注連縄がかすかに揺れている。
「こんな所に祠なんてあったっけ」
冴がつぶやいた。