攫い
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『唐獅子様の舞』
土地神である唐獅子様は、何年かに一度、山からおりてくる。
聴けば踊り出したくなるような囃子を連れて
真っ赤な頭を振り乱し
岩をも喰いちぎる牙を鳴らしながら。
土地を守る代償となる「贄」を求めてやってくる。
攫われたくなければ逃げなさい。
囃子の音が聞こえたら。
草鞋を踏みしめる音が聞こえたら。
音が遠くにあるうちに、逃げなさい。
その腕に攫われたら
もう二度と
戻れはしないから───
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